「判別分析」を学びたいあなたにチェックしてほしい良書、10冊+α はこちらです

Discriminant Analysis recommended books おすすめ

「判別分析」とは、グループ分けされたデータを基に、新しいデータがどのグループに属するかを決める手法です。

 

判別分析は、1936年のフィッシャーの線形判別関数による論文以降、

  • 機械学習
  • 統計的学習理論
  • データマイニング
  • パターン認識
  • ニューラルネットワーク

など、今日有用な方法の基礎となっています。

 

また、判別分析は、非常に幅広い分野(医学・生命科学・生物学・農学・工学・環境科学・経済学など、)で使われている手法の1つです。

 

判別分析を学びたい!判別分析を使いたい!など思われる方も多いと思います。

 

 

本記事では、多変量分析の文脈から「判別分析」をサクッと学びたいあなたにチェックしてほしい良書、10冊+α をご紹介します。

 

本記事の概要

「判別分析」を学びたいあなたにチェックしてほしい良書、10冊+α はこちらです

 

1冊目はこちら 【判別分析がはじめての初学者の方はこちら】

入門はじめての多変量解析

本書は、判別分析をはじめて学ぶ方にもわかりやすいように、イラストをまじえながら、わかりやすく解説した1冊です。

ポイントポイントでキャラクターの一言があり、理解を促進してくれます。

判別分析の解説では、判別分析とは?から平易に解説があり、

2つのグループG1, G2があったとします。そして1個の新しいデータSがどちらのグループに属するのかわからないで困っているとしましょう。こんなとき判別分析を使うと、この新しいデータSがG1, G2のどちらのグループに属するのか”判別してくれそう

と、イラストつきで示されていて、視覚的にもサクッと理解できます。

次に判別分析の例として、前立腺がんグループと前立腺肥大症グループの、2種類の腫瘍マーカーA, Bをもとに新しい被験者さんがどちらに属するか?というテーマで説明が進みます。

判別する基準として、線形判別関数、マハラノビスの距離の2つがあることや、ロジスティック回帰分析も判別分析として利用されることなどがまとめられています。参考文献の案内もされているので、さらに詳しく学びたい方にもうれしいつくりになっています。

その後、線形判別関数とは?最良の境界線は?などの解説があり、判別得点やその図形的な意味、判別得点の3つの変動(全変動、グループ間変動、グループ内変動)の計算の仕方やそらら3つの関係と最良の判別を行うためにどう使えばいいか?といったことがサクッとまとめられています。

次に、具体的なデータを使って判別分析の計算過程が示されています。数式が苦手な方でも、判別分析がなにをやっているかについて、計算を追っていくうちに、自然と理解できるように工夫されています。

加えて、1変数・2変数のマハラノビスの距離による判別分析の解説があります。正答率と誤判別率の求め方が、具体例を使い実際に計算されており、数式に自信がない方もシッカリ理解できるので安心です。

本書は、判別分析だけでなく、多変量解析の主な手法(重回帰分析、主成分分析、因子分析、判別分析、クラスター分析、数量化I類、数量化II類、数量化III類)について、初学者でもわかりやすいように、内容を絞って、丁寧に解説された良書となっています。

 

 

 

 

2冊目はこちら 【「エクセル」で、サクッと使えるようになりたいならこちら】

例題とExcel演習で学ぶ多変量解析 回帰分析・判別分析・コンジョイント分析 編

本書は、具体例と、そのデータを使った具体的な数値の計算を行いながら、多変量解析が中でどんなことをやっているのか、サクッと理解できる1冊です。Excel演習もあるので、手を動かしながら学ぶこともできるお得な本です。

判別分析については、通常の線形判別分析やマハラノビス汎距離を用いた判別分析、正準判別分析が解説されています。判別分析に1章、正準判別分析にもう1章割り当てられていて、それぞれの章が、基礎・実践編、応用・理論編、Excel演習編の3部構成になっています。

判別分析の章の【基礎・実践編】では、不整脈のある患者さんと不整脈がない方について、アンケートで得た喫煙本数と飲酒日数のデータをもとに、喫煙本数と飲酒日数から不整脈症状の有無を判別するモデル式の作成を試みています。線形判別関係式やマハラノビス汎距離を用いた判別について、それぞれ表やグラフを用いて、視覚的にも理解しやすいように工夫されています。

その後、得られた判別のためのモデル式の見方がまとめられ、判別係数や判別得点、判別的中率、相関比、判別得点による予測などもサクッと説明されています。また、マハラノビス汎距離を利用した判別の場合の誤判別の確率や、説明変数の選び方、基準化した判別係数である標準判別係数もわかりやすく解説されています。

次の【応用・理論編】では、まず判別分析の用語のまとめがあり、英語との対応が示されており、論文など英文の資料を読む場合にも参考になるかと思います。次に判別係数の算出方法が6つのステップ(偏差→分散・共分散→分散共分散行列表→プール後分散共分散行列→逆行列→判別係数)で計算できることを具体的な数値を示しながら解説されています。数値を追うことで、シッカリ理解することができるのがうれしいところです。

加えて、等分散性の検定としてボックスM検定のやり方、マハラノビス汎距離の求め方、誤判別の確率の求め方、2群の差を評価するためのウィルキスのラムダ統計量の計算法、説明変数が判別に影響しているかどうかを検定する追加情報の検定(冗長性仮説の検定)のやり方、どのモデルが最適かを決めるための総当たり法やモデル選択基準(赤池の情報基準AIC, 修正CAIC, マローズのCp, マローズのMCp, Pe)などが紹介されています。

【Excel演習編】では、Excelアドイン「マルチ多変量」を使った判別分析の手順が、エクセルの画面のスクリーンショットとともに解説されています。分析結果も一覧で示されていて、どのような結果が得られるのかが一目瞭然にイメージできます。

次章では正準判別分析について、英語と数学の成績から高等学校のクラス分け(文系・理系・国公立)を行う例をもとに、同様の流れて詳細に解説がされており、判別分析を学んだ後であれば、なお一層、サクッと理解できるのではないでしょうか。

本書では、判別分析だけでなく、多変量解析の中で、重回帰分析、数量化1類、拡張型数量化1類、コンジョイント分析などが解説されています。数式やベクトル・行列に不慣れな初学者の方でも、付録にそれらのまとめがあるので、他書を参照せずに学ぶことができるのがうれしいところです。

多変量解析の初歩的な知識の導入からはじまり、各多変量解析手法をサクッと学べる、忙しいあなたにおすすめの1冊となっています。

 

 

 

 

3冊目はこちら 【中でなにをしているかを、サクッとわかりやすく学び、詳しくも学べる1冊です】

まずはこの一冊から意味がわかる多変量解析 (BERET SCIENCE)

本書では、線形判別関数による判別分析と、マハラノビス距離を用いる判別分析が解説されています。具体例として、血圧と心拍数のデータから病気の有無の診断が挙げられています。判別分析により得られた判別の式の意味をデータの散布図を示しながら、丁寧に説明してくれます。線形判別関数での判別分析で重要な相関比も詳しく説明(別の章)されており、参照できるようになっているのがうれしいところです。

次に、標準偏差がことなる2つのグループについての判別分析での標準化の重要性と、それを実現するマハラノビス距離について解説があります。マハラノビス距離の必要性や定義式の意味などもシッカリ学べます。

本書は、判別分析をサクッと学びたいあなたにおすすめの1冊となっています。

 

 

 

 

4冊目はこちら 【学生さんの問題演習や、先生方の問題作成にも役立つ1冊】

多変量解析法入門 (ライブラリ新数学大系)

本書は、判別分析について、4ページの1ページでサクッとまとめた概要と、99ページからの判別分析の章で具体的な詳細が説明されています。

健常者と疾病にかかっている患者さんに対する2種類の検査値のデータを用いて、判別分析の解析の流れがわかりやすく説明されています。

本書では、マハラノビスの距離とは?から線形判別関数、判別得点(スコア)、誤判別の確率、変数選択、得られた判別方式の使い方などがサクッとまとめられています。2変数での場合のマハラノビスの汎距離を使った判別分析のやり方もわかりやすいです。行列とベクトルでの表現の補足があり、線形代数に不安のある方にもわかりやすいよう工夫されています。最後に練習問題が3問あり(巻末にきちんとした解答あり)、これらをやることで理解できたか確認できるようになっています。

大学の教科書に近い感じで、数式とその意味や図を使った補足があり、関連する例題が続いています。例題を自分でできるようにすることで、理解がより深まるように作られています。単位をとりたい学生さんや、試験問題などを作成される先生方は、例題や練習問題を参考にされるとはかどるのではないでしょうか。

判別分析の理解だけでなく、受験勉強のような感じで、例題や練習問題を解きながら理解するのにも適した1冊となっています。

 

 

 

 

5冊目はこちら 【「エクセル」でのやり方から、中で何をしているかもサクッと学べます】

多変量解析がわかる (ファーストブック)

本書は、判別分析の代表的な手法である、線形判別関数によるものと、マハラノビス距離によるものの2つを紹介しています。

まず、線形判別関数による判別分析の解説では、鍵となる「相関比」について、その考え方が1変量のデータを使ってわかりやすく解説されます。次に「分散の分離」について、変動に着目して、全変動、群間変動、郡内変動について、イラストと数式を用いてクリアに説明されます。相関比とその性質がまとめられ、実際のデータでの計算過程が示されており、手を動かすことで、納得して次に進めるように工夫されています。

次に、群を分ける基準を1次式で表現する「線形判別分析」の解説があります。大学生男女10人の身長・体重データをもとに、男女が離れてみえる1次式を探します。ここで相関比を最大にするように変量を合成する、と解説があります。具体例があり、実際の数式が書き下されていて、数値を代入することで、中でなにが行われているか一目瞭然に示されています。各個体の判別得点を求めることで、群所属の判別の目安を知ることができることがわかります。

加えて、エクセルのアドインソルバーを使って、線形判別を行う手順が示されています。その後、線形判別分析の数学的な解説が行われています。線形判別関数を求める過程で、条件付きの最大最小問題に帰着され、それをラグランジュの未定係数法を用いて解決する様子が1つ1つ数式により示されています。

その後新たに、マハラノビス距離を用いたら判別分析の解説があります。マハラノビス距離は、確率を考慮した平均からの距離を議論したいときに用いるのですが、まず1変量から説明が始まり、次に2変量、そして一般化されたマハラノビス距離の解説というように、1つずつステップアップするので、つまずかずに理解できるように工夫されています。

そして、マハラノビス距離を用いた判別分析の原理や具体例、判別の精度を表現する判別的中率とその評価などがわかりやすく解説されています。最後に群がいくつもに分かれている重判別分析について、パターン認識などと絡めた話題が参考としてまとめられています。

本書は、判別分析をサクッと学べる良書となっています。

 

 

 

 

6冊目はこちら 【なぜそうするのかをシッカリ理解したいあなたはこちら】

多変量解析入門―自由自在に使いこなすコツ

本書は多変量解析の手法の考え方を示すというよりも、なぜそのような考え方に至るのかといった根底の部分をシッカリ解説している1冊です。

判別分析では、判別するとは?からわかりやすく解説があり、重回帰分析との類似性と違う点も明確に説明されています。その後、判別するための論理はどうなっているのか、根底にある考え方から導いています。

まず各グループが最もよく分離される場所を探し、そこでの各グループからの距離を測定することで判別を行う

とスッキリまとめてくれます。

また判別をするためには、判別しやすいような総合判定値を作成し、それが線形和の直線として表現されることなどが説明されています。そして、具体的な判別関数の決め方として、群間分散と群内分散の関係から、2つの分布が離れて見える条件として、相関比を最大にするように判別関数の係数を決める、ということが図を明示しながら解説されています。

加えて、結果の検討方法として、10社の4つの経営指標(売上高利益率、流動比率、当座比率、資本利益率)という具体例を通じて、分散共分散行列の検討として等分散性の検定(カイ二乗検定)や、判別関数の有効性の検討として誤判別率、判別確率、用いた変数の有効性の検討としてF検定などが説明されています。

判別分析の基礎は勉強したけど、なにか腑に落ちない方や、なぜそういう式変形をするのかといった疑問のある方など、判別分析の根底にある考え方をシッカリ学びたいあなたにおすすめの1冊となっています。

 

 

 

7冊目はこちら 【数理的な背景と、具体例を用いた「R」での実践方法を学べる1冊】

多次元データ解析法 (Rで学ぶデータサイエンス 2)

本書は、判別分析の理論や考え方から、Rでの実行方法について、シッカリ学べる1冊です。

判別の問題とは?から解説があり、判別分析での前提、判別関数、データの関数値と基準値、判定の誤り、成功率が最大になるように判別関数を作成する、といったことがサクッと解説されています。

例として、”花びらデータ” が使われていて、このデータは、花びらの大きさに着目したときに、それぞれ2つの品種に分けられる、というものです。

各群の平均と分散が分かっている場合の説明があります。品種ごとの花びらの幅の長さの平均と分散を算出して、どう分ければいいかを考えていきます。新しいデータと既存データの距離を、分散で割って算出するという考え方が示されています。また、誤判別率が定義されていて、花びらデータを使っての具体的な計算も示されています。

次に、変数が2つになった2変数2群の判別について、入社試験データ(筆記試験と面接試験の点数と合否のデータ)を例に解説があります。合否を判別する式が求まれば、筆記が重要なのか面接が重要なのかを考えることができます。

今回は、2群をうまく分けるために、変数を合成した軸に射影することが示されています。その流れて群間分散、群内分散、分散比が定義されていて、その後、射影した軸での判別関数の導出が行われています。分散比を最大にする係数を求めることが固有値問題の解であることが示されています。続いて、判別スコア(判別得点)やフィッシャーの線形判別関数、マハラノビス距離の説明がなされます。その後、p変数での2群判別へと一般化が示されています。

ちなみに、数式での解説のあとに、ベクトルや行列表示での解説もあり、線形代数になじみがある方にわかりやすいよう工夫されています。

そして、確率密度関数の関数値(尤度)で判別する方法の説明にうつります。花びらデータに対して正規分布を仮定することで、その密度関数の値を求め、それによって判別するやり方が具体的に示されています。また、誤判別率の考え方が数式だけでなく、図でも示されていて、視覚的に理解できるよう工夫されています。

その後、多次元への拡張として、p変数2群の線形判別が解説され、マハラノビス距離の比較によって判別できることが述べられています。

加えて、2次判別関数についても解説があり、入社試験データや、スイス銀行紙幣真贋データ(本物と偽物を識別する際に得られたデータ)を使った分析が解説されています。

最後に、Rによる演習が示されていて、Rのライブラリ MASS の 線形判別のための関数 lda()、2次判別のための関数 qda() の使い方が紹介されています。これまで説明に使われていた入社試験データやスイス銀行紙幣真贋データの分析を手を動かしながら学べます。

本書は、判別分析の考え方から、Rでの実行方法まで学べる実務にも役立つ1冊となっています。

 

 

 

 

8冊目はこちら 【線形から非線形まで、判別の理論をシッカリ学びたいあなたはこちら】

多変量解析入門――線形から非線形へ

本書は、線形分析だけでなく、非線形の方法を学びたい方向けの多変量解析の1冊です。

判別分析では、「線形判別分析」、「マハラノビス距離に基づく判別法」(線形判別・2次半別)、3つ以上のグループへの判別を扱う「多群判別」、「正準判別」などが扱われています。加えて、変数選択として、予測誤差との関係や逐次選択法が解説され、分析例とともに具体的に学べます。

2つのグループの判別分析を2群判別といいますが、まず2群線形判別について、データの平均ベクトルと分散共分散行列を使い、変数の線形結合で判別する式を組み立てる考え方が説明されています。例として、広葉樹の葉の長さと幅で、2つの品種を判別する問題が使われ、群間分散と群内分散の定義や意味が説明され、それらの比が最大になるように線形判別式の重み(射影軸)を決定すること、などが数式とともにまとめられています。加えて、事前確率を考慮する線形判別、誤判別率、みかけ上の誤判別率、予測誤差、クロス・バリデーション、leave-one-out 法などが解説されており、実用でも役に立つ情報がきちんと書かれています。

次にマハラノビス距離のよる線形判別や2次判別が説明され、その後、多群線形判別、多群2次判別が解説されます。分析例として、非肥満成人145名について、3つの検査項目を使い、正常グループ、ブドウ糖負荷試験のみ異常グループ、糖尿病の臨床症状がみられるグループの3群への判別が、多群線形判別、多群2次判別を使って試みられています。

また、すべての変数を用いなくても有効に判別できる可能性を考慮する「変数選択」という考え方がまとめられています。具体例として、結石の原因で知られるシュウ酸カルシウム結晶の形成要因の判別が試みられています。尿中の6つの検査項目をもとに、尿中にシュウ酸カルシウム結晶の存在があるかないかを判別します。比重、pH、尿浸透圧、伝導度、尿素濃度、カルシウム濃度、カルシウム濃度の6変数を使って線形判別式が導かれます。これに対して、より少ない変数で構成する線形判別式がブートストラップ選択確率(付録に説明あり)などの考えを用いて導かれています。

さらに、すべての変数の組合せを考えて変数選択する場合、変数が多くなると計算量が膨大になります。それを避けるための方法として、「逐次選択法」(段階的選択法)が解説されています。変数増加法、変数減少法、変数増減法とも呼ばれていて、さまざまな統計パッケージに導入されていることが示されています。上と同じシュウ酸カルシウム結晶の有無の例を用いて、変数増加法による変数選択の考え方がF分布やF値を用いた検定とともに解説されています。

次に、正準判別分析が解説されています。データの項目が4次元以上になった場合に、図示などできず視覚的な理解が難しくなりますが、これを2次元や3次元に射影してデータの特徴を捉えることが役に立ちます。これを次元圧縮といいますが、これを可能にするのが正準判別分析です。ある見え方では重なっているデータも、射影することで分離可能になることがあり、次元圧縮のできる判別分析が正準判別分析なんです。

最後に演習問題が用意されていて、理解の確認ができるのもうれしいところです。

論文など読んで専門的に学びたいあなたが基礎を固めるのに適した1冊ではないでしょうか。

 

 

 

9冊目はこちら 【基礎を学んだあなたが、さらに理解を深めるにはこちら】

多変量データの分類―判別分析・クラスター分析 (シリーズ・多変量データの統計科学)

本書は、”分類”を行う上で主要な考え方である、判別分析とクラスター分析について、シッカリ解説された1冊です。

判別分析では、まず、判別規則の考え方としてベイズ判別規則、正準判別規則、線形判別関数と2次半別関数などが解説されます。

次に多変量正規母集団からの標本に基づく判別関数として、分散共分散行列が共通の場合の2群と多群での判別関数や、分散共分散行列が異なる場合の判別関数についてそれぞれ考え方や理論とともに、数値計算例も示しながら解説がされています。

また、判別関数での変数選択の問題について、そのアルゴリズムと計算例がまとめられていたり、カーネル関数を用いたカーネル正準判別分析の考え方や計算例もきちんと解説されています。加えて、質的データの判別分析も学べます。

数値計算例については、UCI Machine Learning Repository の中から ピーマ族の女性の糖尿病に関する検査結果(pima-indians-diabetes.data)や、ガラス成分や特性からその用途を識別する問題(glass.data)、ランドサットによる画像データ(sate)など興味深いものが採用されています。

判別分析の実行では、フリーソフトウェア「R」で自分でプログラミングしてみることが推奨されており、本書の内容に関するプログラム例は、朝倉書店のホームページから入手することが可能となっています。

本書は数式による説明も多く、統計学やベイズ統計、線形代数などの基礎的な知識も前提とされていますので、そこだけ注意されてください。基礎を学んだ方が、応用に向けてシッカリ学ぶための1冊となっています。

「ベクトル」を学びたい・復習したい方にチェックしてほしい良書、10冊はこちらです

「線形代数」を独学したい人はチェックしてほしい良書、13冊はこちらです

「統計学」に入門したい人はチェックしてほしい良書、10冊はこちらです

『「ベイズ統計」を学びたい人はチェックしてほしい良書、8冊はこちらです

 

 

 

 

10冊目はこちら 【判別分析の、実務で参考になる適用例をみつけたいあなたへ】

多変量解析実例ハンドブック

本書は、多変量解析についての73個の適用事例について、専門家の方々がまとめたハンドブックです。多くの例では単一の手法ではなく、複数の多変量解析手法を組み合わせて使われており、上記で紹介した書籍では学べない実務への応用のイメージ力を高めてくれる1冊となっています。

判別分析は、医学、工学、経済・経営分野での適用事例が示されています。

【医学分野】では、アレルギー疾患についての多変量解析や、歯学における多変量解析がまとめられています。前者ではアレルギー症状を示す項目と乳児期の栄養状態、両親兄弟姉妹のアレルギー症状歴との関連が調べられています。統計パッケージ HALBAU が使われています。後者では、死体などの身元確認では歯から性別を判定することも重要となることから、乳歯を用いた性別の判別分析の結果が報告されています。上下顎左右側の乳歯20本について、臨床的歯冠長、歯冠幅、歯冠厚が測定され、ステップワイズ判別分析により変数選択を行いながら、判別関数が構築されています。

【工学分野】では、判別分析法によるポリグラフ反応の識別や、画像処理への判別分析の応用が示されています。前者では、96名の大学生が認知群と無知群にわけられ、認知群には万年筆を盗む模擬犯行を行うが無知群は行わず内容も知らない状態とし、ポリグラフ検査を受けてもらいました。呼吸、皮膚電気、脈波、心拍などの変数を使い判別規則が検討されています。線形判別、2次判別、ノンパラメトリック判別(カーネル関数法、最近傍法、多数決に基づく方法)、ロジスティック・ニューロ判別分析などが用いられています。また、誤判別率の評価やみかけ上の誤判別率、交差検証法、ブートストラップ補正や0.632推定量などの解説も行われています。加えて、これら判別手法間の関係について、手法間の判別の不一致率に多次元尺度法を適用した図が示されているのですが、どれかの手法で正判定した個体は85.4%となっており、複数の判別手法を組み合わせることで高精度の群の識別ができる可能性が示唆されています。

後者では、画像処理への多変量解析手法の応用ということで、画像処理に関係するタスクについて、様々な多変量解析手法の適用例がまとめられています。ここでは判別基準に基づく濃淡画像の2値化についての適用例が示されています。濃淡画像を対象領域と背景に分離する2値化は、画像処理やパターン認識の基本的なステップの1つで、このためには適切なしきい値を選ぶことが重要です。一般に判別分析は基本的に教師あり学習として理解されますが、判別基準そのものは教師なしでも利用することができる例として説明されています。

【経済・経営分野】では、企業の評価・分類・ランキングとして、研究開発投資が企業の知的価値を産み出しているかという疑問を、正準判別分析を用いて探索しています。企業の知的価値を目的変数とし、研究開発投資を含む企業業績を説明変数として投資と効果の関係を調べています。正準判別分析の結果、研究開発を行う上場・非上場有力企業256社は、第1正準変数に研究開発投資の積極性や経営効率のよさ(相関の高い4変数:研究開発比率、5年後の研究開発見通し、総資本経営利益率、一人当たり経常利益額)、第2正準変数を企業規模(相関の高い3変数:自己資本額、売上高、従業員数)として、2次元に企業のR&D知価マップとして示されています。研究開発に積極的かどうかなど、一目瞭然に示されています。

これら例からわかるように、正準判別分析は通常は教師あり(外的基準あり)データを用いますが、次元圧縮という点では主成分分析と同じ考え方だとわかります。極端にいうと、1つ1つのデータを1つの群と考えたときの正準判別分析は主成分分析と形式的には同じと考えることができるからです。

本書は、上述のような判別分析の適用例はもちろんのこと、その他の多変量解析手法の応用例なども豊富に載っています。目の前の解析で悩んでいるあなたも、参考にできる手法や適用例が見つかるのではないでしょうか。

 

 

 

というわけで、本記事では、多変量分析の文脈から「判別分析」をサクッと学びたいあなたにチェックしてほしい良書、10冊+α をご紹介しました。

 

 

 

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ちなみにですが、判別分析の勉強で悩まれたら、

もしかしたら、以下の点が参考になるかもしれません。

 

判別分析を理解するには、2つの入り方があります。

 

1つは「多変量解析」の文脈で、回帰分析や主成分分析などのように、判別分析は1つの方法としてシッカリ存在感がある感じで紹介されています。

多変量解析の本で、判別分析の箇所を学ぶことで理解することが可能です。

 

もう1つは「機械学習」や「パターン認識」の文脈です。

判別分析は「学習」の中の1つのステップとして位置づけられています。機械学習の影の功労者の1つです。

この文脈の判別分析は、パターン認識に関係する本などで学べます。学習のプロセスの中で、判別分析の上流と下流まで含めて、判別分析の考え方から分析方法・応用など、系統的に学ぶことができます。

 

どっちがいいんだろう? と思われる方も多いかと思います。

 

多変量解析の文脈で学んだ方がいいのは、判別分析とは?といった初学者の方や、判別分析自体を学びたい方で、判別分析をサクッと学ぶのがよいかと思います。

判別分析をシンプルに学ぶことで、理解もしやすく、実務にも効率的に活かすことができます。

いますぐ学びたい!すぐに使いたい!といったあなたは、多変量解析関連の本で、判別分析に絞った勉強をするとよいかと思います。

本記事ではこちらに対応するおすすめ本をご紹介していることになります。

 

 

 

一方で、機械学習をやりたい!とかパターン認識に興味がある!という方には、後者の文脈で学ぶのがいいかと思います。

この文脈で学ぶと、判別分析はあくまで選択肢の1つに過ぎず、場合によっては他の手法を使えるという応用力もつきます。

ただそのかわり判別分析の理解という意味では前者より時間がかかるという面があります。

その意味での判別分析であれば、機械学習の本を参考にしながら学ぶのも1つの方法かと思います。

機械学習に関する本はこちらの記事もございます。よかったらどうぞ↓

機械学習に入門したいあなたにチェックしてほしい良書、10冊はこちらです

 

 

 

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