「時系列解析」に入門したいあなた、こちらはいかがでしょうか

時系列解析入門 北川 おすすめ

 

「時系列解析」は、時系列データを分析する手法です。

時系列データとは、気温や湿度、株価や為替など、

時間変化するデータについて、時間の情報をつけて表現したものです。

 

時系列データの関係するシステムは、複雑で、不確実な現象がほとんどです。

時系列データの特徴をとらえるには、時系列データに特化した手法を使う必要があります。

 

また、時系列解析では、

統計科学の概念や手法、最小二乗法、最尤法、逐次フィルタなどによる推定方法や、

情報量規準を使ったモデル選択を理解しておくと、

時系列データのモデリングに役立ちます。

 

そこで、

  • 時系列解析とは?どんな手法があるの?
  • 時系列のモデリングは、どうすればいいの?
  • 理論的なところもキチンと学べる本はないの?

といったあなたのために、

時系列解析の基礎から学べ、理論もキチンと理解できる本をご紹介します。

「時系列解析」に入門したいあたな、こちらはいかがでしょうか

 

本書は、時系列解析の基礎から、理論的な面も、キチンと学べる1冊です。

 

最初に、時系列データとは?という方のために、

  • 時系列データの解説から分類
  • 時系列解析の目的
  • 時系列データの前処理

などがシッカリ解説されていて、初学者の方も理解の基礎をつくることができます。

 

次に、定常的な時系列データの特徴を記述する共分散関数について、

  • 分布や定常性
  • 自己共分散、白色雑音
  • 相互共分散関数や相互相関関数

などが解説されています。

また、時系列データを三角関数で表現して、その特徴をあぶりだす、

  • パワースペクトル
  • ピリオドグラムの定義
  • 高速フーリエ変換FFTによる計算方法

などが解説されています。

 

時系列モデリングの解説では、

  • 確率分布と統計モデルの説明
  • それらの近さの評価方法
  • モデル選択

といった時系列データの統計モデリングの方法が示されています。

分布関数、密度関数から、正規分布、コーシー分布、ピアソン分布族、指数分布、カイ二乗分布、二重指数分布、一様分布などが紹介され、

カルバック・ライブラー情報量(KL情報量)や、エントロピー最大化原理、KL情報量の推定、赤池情報量規準(AIC)などが、キチンと学べます。

 

次に、回帰モデルの最小二乗解について基礎から説明があり、

  • ハウスホルダー法による求め方
  • AIC による次数選択や変数選択との相性の良さ

などがサクッと説明されています。

 

ARMA モデル(自己回帰移動平均モデル)による時系列解析では、

インパルス応答関数、自己共分散関数、偏自己相関係数(PARCOR)、パワースペクトル、特性方程式の根を求める手法、ユールウォーカー方程式、AR係数とPARCORの関係について解説があります。

また多変量ARモデルでの、クロススペクトルと、ノイズ寄与率の計算法も説明されています。

 

ARモデルの推定では、ユールウォーカー法(レビンソンのアルゴリズム)、最小二乗法、PARCOR 法によるパラメータ推定法が説明され、AIC による次数の決定法も解説されています。1変量の解説の後に、多変量の場合に拡張されており、理解しやすいよう工夫されています。

 

その後、非定常の時系列データの扱いについての解説があります。

全体としては非定常だけど、ある一部分については定常、と仮定する

  • 「局所定常」の考え方

を用いたARモデルのあてはめが解説されています。

全体をいくつかの区間にわけるのですが、その区間の数や分点は自動的に決める方法と精密に決める方法の2つとも解説されています。

 

次に、状態空間モデルを使った、時系列解析についての解説があります。

時系列解析で出会う問題の多くは、

  • 状態空間モデルで統一的に扱うことが可能

です。ARMA モデルの状態空間表現などと呼ばれたりします。

時系列解析の多くの問題は、

  • 状態空間モデルの状態推定の問題

に置き換えることができます。

状態空間モデルの状態推定を行うためのアルゴリズム

  • カルマンフィルタ
  • 平滑化

の解説があり、

  • 時系列の長期予測
  • 欠測値の補間
  • パラメーター推定

といった応用がまとめられています。

 

時系列データには、長期的な傾向が含まれていたりします。この長期的傾向をトレンドと呼んでいて、トレンドをふくんだモデルの構築が求められます。

多項式をつかったトレンドモデル、季節調整モデルなどの解説もされています。

さらに、データの平均値や変動が時間とともに変化する場合が解説されます。

時変係数モデルと呼ばれるモデルを用いて、

  • モデルの時間変化を考慮した時変分散モデル
  • 時変係数ARモデルとそのパワースペクトルとその推定
  • 係数の急激な変化への対応

などが図などを含めて解説されています。

 

これまでに解説された線形ガウス型の状態空間モデルは、多くの場合で便利で計算方法も確立されたよい方法です。

しかし、なめらかな変化と急激な変化が混在するような場合に、モデル化がうまくいかない場合があります。

そのような場合には、「非ガウス型の状態空間モデル」を用いる選択肢があります。

  • 非ガウス型状態空間モデルの状態推定
  • 非ガウス型のトレンドモデル
  • 異常値への対処
  • 非定常離散系列、時変分散

をなどの応用もサクッと述べられています。

 

高次元・非線形・非ガウス型の状態空間モデルの平滑化やフィルタリングの手法として、

  • モンテカルロ・フィルタ

(粒子フィルタやブートストラップフィルタとも呼ばれます)

が紹介されています。

モンテカルロ・フィルタとは?

の解説からそのアルゴリズム、そしてモンテカルロに平滑化などが解説されています。

また、シミュレーションによって、時系列モデルにしたがった、時系列を生成する方法も示されています。

 

付録では、

  • 非線形最適化のアルゴリズム
  • レビンソンのアルゴリズムの導出
  • カルマンフィルタと平滑化のアルゴリズムの導出
  • モンテカルロフィルタのアルゴリズム

が詳しく解説されています

 

 

というわけで、時系列解析の入門となっていますが、専門家になるための入門書といった感じです。

数式を理解しながら読み進める必要がありますので、

線形代数や微分積分、確率統計の基礎知識が前提とされている点にご注意ください。

 

 

ちなみに、本書で取り上げられている内容は、

著者のHP(情報発信ページ(暫定版))で、ソースコードが公開されています(こちら)。

ソースコードだけでなく、その解説 pdf ファイルがありますので、

本書と、ソースコードと解説 pdf を一緒に使うことで、

自分で手を動かしながら学ぶこともでき、より深く理解することができます。

 

時系列解析を現実の問題に応用していきたい方など、末長く参照できる1冊になっています↓

同著者のFortranプログラムでの実装方法がまとめられたこちらもございます↓

 

 

 

 

 

 

 

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