本記事の概要
LPIC(エルピック・Linux技術者認定資格)とは?どんな資格なの?試験内容や日程、申し込みの仕方など、わかりやすくまとめました
LPICってなに?正式名称は?国家試験なの?
LPICは、Linuxを使う方のためのLinux技術の認定資格です。
LPICの正式名称は、「Linux Professional Institute Certification」です。
Linuxプロフェッショナル協会(Linux Professional Institute(LPI))が運営している資格(Certification)となります。
IT技術に関する資格試験には、ITパスポート試験や基本情報技術者試験などがありますが、
LPICは、Linuxを使う方向けの技術力認定プログラムになります。
ちなみに、LPIは、カナダに本部がある非営利の組織で、
日本にもLPI日本支部があり、日本でのLPICの認定試験の運営等が行われています。
LPIが運営するLPICは、世界最大のLinux技術者の認定試験で、
- Linux技術評価の国際標準
となっています。
なので、LPICは日本以外でも通用する資格となっています。
日本に限った資格ではなく、国家試験ではありません。
- Linuxってなんだっけ?
- Linuxを学ぶと何がいいの?
- LPICに合格すると、どんなメリットがあるの?
と思われる方も多いかと思います。
以下で簡単にまとめますね。
Linuxってなんだっけ?
Linuxは、コンピュータの基本ソフトです。
オペレーティングシステム(OS)と呼ばれます。
他のOSには、WindowsやMacOSがあります。
Linuxは、Windows10ではすでにインストールされています(Windows Subsystem for Linux (WSL)と呼ばれています)。
なので、Windowsユーザの方は、ポチポチと設定すればすぐにLinuxを使うことができます。
MacOSユーザの方はご存知かもしれませんが、MacOSはLinuxをベースに作られているので、
操作方法などがLinuxとよく似ています。
MacOSを使っている方の場合は、Linux(LPIC)の勉強は、そのままMacOSの効率的な使い方を学ぶことにつながります。
なので、Linuxの技術者認定試験ではありますが、
- WindowsユーザがLinuxを使い業務を効率化する
- MacOSユーザが、よりMacOSを使いこなして業務の生産性を高めていく
といったメリットがあります。
Linuxを学ぶと何がいいの?
その他にも多くのメリットがあります。
Linuxは非常に多くの場面で使われています。
例えば以下です。
- スマホや携帯電話
- 組み込みシステム(家電製品や医療機器、産業機械など)
- 様々な用途のサーバ
- 官公庁や大企業などの基幹システム(大型汎用機(メインフレーム))
- スーパーコンピュータ(大量の高速演算、大規模計算)
これらを使って
- 面白いことをしたい!
という場合に、Linux技術は必ず役立ちます。
LPICで学び・合格すると、どんなメリットがあるの?
上でLinuxは、様々なところで使われていることがわかっていただけたかと思います。
しかし実際のところ、様々なところで使われるそれぞれのLinuxは、それぞれ中身が少しずつ違っています。
Linuxには、様々なディストリビューションがあります。
そこでLPICを受験し合格するメリットが出てきます。
LPICでは、ディストリビューションに依存しない、
- Linux共通の知識や技能を学べる
というメリットがあります。
LPICを通じて、様々なディストリビューションに共通する本質的な部分を効率的に学べるわけです。
なので、LPICの認定資格保有者は、
様々なディストリビューションのLinuxについて、
- 包括的で幅広い知識を持っている
と、国際的に、認知されることができ、採用される確率が高まります。
実際に、
- 7割を超える雇用主は、LPIC認定資格を保有した応募者をより魅力的に感じる
といった調査結果があります。
また、すでに働かれてる方でも、
- 認定を受けることで給料、ボーナスが上がる
可能性があります。
実際に資格取得後に5割以上の方は、
- 1年以内の昇給
を経験したというデータがあります。
なので、LPICに合格すると、
- 就職や転職などで採用確率が高まる
- 給料が上がる
といったメリットが挙げられます。
その他にも、LPICの受験を通じて、
日常の業務での多くのメリットがあります。
- 日常業務でLPICで学んだことをよく使う
- 日常業務の生産性が高まる
- 問題解決能力がアップした
といったメリットが挙げられます。
以上から、LPICで学び・合格することで、
- 就職や転職などの採用でのアピールとなる
- より良い年収・給料をもらえる
- 日常業務をより質の高いものにできる
といったメリットがあります。
ちなみに、
- ディストリビューションってなに?
という方も多いかと思います。
簡単にご説明しますね。
(知ってるよって方は、下にスーッと進まれてください)
Linuxディストリビューションって?
Linuxはフリーのオープンソースだというのは聞いたことがあるのではないでしょうか。
Linuxのコードは、無料で誰でも使うことが可能です。
ただし、Linuxを私たちが普段使う感じで使うには、
Linuxに関係する様々なパーツ(ライブラリ)を組み合わせて使う必要があります。
Linuxの基本的な処理はカーネルが担うのですが、
その他の機能は他のライブラリを組み合わせて使うわけです。
そうすることで、私たちが普段使う感じのLinuxになります。
この「普段使う感じのLinux」が「ディストリビューション」と呼ばれます。
- Linuxカーネルにその他のライブラリを組み合わせて使いやすくしたもの
と言えます。
車で例えると、
Linuxのカーネルは、車のエンジン(中心で欠かせません)で、
そのほかのライブラリは、例えば、
- ハンドル
- シート
- サイドミラー
- タイヤ
- ・・・
などのような様々なパーツになります。
車にはトヨタやHONDAなど様々なブランドがありますよね。
それがLinuxのディストリビューションに対応しています。
Linuxに話を戻しますね。
組み合わせるライブラリには
- 起動に必要なもの
- エディタ
- コンパイラ
- GUI関係
- デスクトップアプリ
- サーバアプリ
- その他の必須ツール
などがあり、それぞれに様々なの選択肢があります。
なので、どんなライブラリを使うかで、
- ディストリビューションも様々なものがある
ことがわかっていただけるかと思います。
そして、車によって、〇〇社のタイヤを採用していたり、△△社のタイヤを使っているものがあるように、
ライブラリの1つひとつもそれぞれいろいろなものがあります。
- じゃあLinuxってたくさん種類があるの?
と思われるかもしれません。その通りなんです。
ひとことでLinuxと言っても、様々なものが開発されており、それぞれ特徴を持っています。
- どのLinuxを勉強すればいいの?
と思われるかもしれません。
Linuxはたくさんの種類がありますが、本質的な部分は共通しています。
なので、初心者の方はまずは有名どころのLinuxディストリビューションを触りながら学んでいくのがおすすめです。
様々なディストリビューションの中でも有名で良く使われるものがあったり、無料のもの、サポートがついている有料のものなどがあります。
例えば、Red Hat系と言われるLinuxは、多くの方が使っています。
商用として有名なものに、Red Hat社が開発・販売しているRed Hat Enterprise Linuxがあります。
これと同等なクローンで、無料で使えるCentOSなどもよく使われています。
他にも Debian系(デビアン)と呼ばれる有名なLinuxもあります。
Debian系のLinuxの1つには、上で少し書いた、
Windows10ですぐに使えるLinuxとして入っているUbuntu(ウブンツ)Linux があります。
なので、初心者の方がLinuxを触るときには、
- Red Hat系(無料ならCentOSなど)
- Debian系(Windows10 に入っていてすぐ使える)
のどちらかがいいのではないかと思います。
- 学んでみたけど、理解できてるか確認したい場合はどうするの?
と思われる方も多いかと思います。
例えば、Red Hat社は、独自にRed Hat Linuxについての認定試験を行なっています。
これはRed Hat Certified Engineer(RHCE)試験と呼ばれます。
Red Hat系Linux向けのLinux認定試験になります。
- 学習した内容が本当に身についているかは、テストによって確かめる
といったやり方があります。
ここまでのところを簡単にまとめると、
- Linuxには様々なディストリビューションがある
- それぞれに個別に学ぶこともある
という状況になっています。
でも、様々なLinuxディストリビューションで共通することを効率的に学べたら嬉しいですよね。
そして共通の知識や技能についての認定資格があったらいいですよね。
それがまさにLPICになっています。
LPICはディストリビューションに依存しないLinux技術者の技能認定資格なわけです。
なのであなたがどんなディストリビューションを使うとしても、LPICを勉強しておけばいいわけです。
LPICの受験資格はあるの?内容は?有効期限はある?
LPICの受験資格は?
- Linux技術評価の国際標準
と聞くと、
- 受験するために何か資格が必要なんじゃないの?
と思われる方も多いかと思います。
LPICにはいくつかのレベルがあり、レベルによって受験資格が違っています。
LPICのレベルは、
- LPIC 1(LPIC level 1)
- LPIC 2(LPIC level 2)
- LPIC 3(LPIC level 3)
のように、3段階に分かれています。
LPIC レベル1では
受験資格は特にありません。
- 誰でも受験することができます。
LPIC レベル2を受験するには、
まずLPIC レベル1を合格する必要があります。
同様に、
LPIC レベル3を受験するには、
LPIC レベル2を合格しておく必要があります。
なので、LPICでは、
- レベル1からレベル2、そしてレベル3
という順番で受験していくことになります。
そして、レベルが高くなると出題内容もより高度でより専門的ものになっていきます。
じゃあどういう内容が問われるの?
と思われるかと思います。
LPICの試験内容とは?
LPIC レベル1(LPIC-1)の試験
LPIC-1 の試験では、
- Linuxを実行するコンピュータをインストールして構成できる
- 基本的なネットワークを構成できる
- コマンドラインでメンテナンスタスクを実行できる
といった能力が問われます。
もう少し具体的にいうと、以下の内容が含まれます。
- Linuxシステムのアーキテクチャを理解している
- Linuxワークステーションをインストールして、維持できる
- ネットワーククライアントとしてセットアップできる
- Linuxのコマンドライで動作させることができる
- ファイルの処理、アクセス許可、システムセキュリティに関する処理を行うことができる
- 基本的なメンテナンスタスクを実行できる
といった内容が含まれています。
(ここでいうメンテナンスタスクには、
- ユーザの追加
- バックアップと復元
- シャットダウンと復元
- ユーザーへのヘルプ
などがあります)
試験科目としては、
- 101試験
- 102試験
の2つがあり、どちらも合格基準を満たしたらLPIC-1が合格となります。
細かいですが、101試験と102試験は、どちらから受験しても構わないです。
ただしLPIC-1合格には、どちらも5年以内に合格する必要があります。
試験時間は、どちらもそれぞれ
- 90分
問題形式は、
- 60個の多肢選択問題と空欄式の質問
について解答するようになっています。
LPIC レベル2(LPIC-2)の試験
LPIC-2 の試験では、
中小規模の混合されたネットワークを管理する能力が問われます。
もう少し具体的にいうと、以下の内容が含まれます。
- 高度なシステム管理を実行することができる(Linuxカーネル、システムの起動、保守などを含む一般的なタスクを含む)
- ファイルシステムやブロックストレージの高度な管理ができる(ファイアウォールやVPNなどのネットワーキングと認証、システムセキュリテイを含む)。
- 基本的なネットワークサービスをインストールして構成できる(DHCP, DNS, SSH, Webサーバ, TP, NFS, Sambaを使用するファイルサーバ、電子メール配信などを含む)
- 上位管理者に自動化や購入などの助言ができる
- 下位従事者を監視できる
といった内容が問われます。
試験科目としては、
- 201試験
- 202試験
の2つがあり、どちらも合格基準を満たしたらLPIC-1が合格となります。
試験時間は、どちらもそれぞれ
- 90分
問題形式は、
- 60個の多肢選択問題と空欄式の質問
について解答するようになっています(LPIC-1と同じになります)。
LPIC レベル3(LPIC-3)の試験
LPIC-3 の試験では、
エンタープライスレベルのLinuxする能力が問われます。
試験科目としては、
- 300試験:混合環境(Sambaを中心としたファイルサーバ・ドメインコントローラ構築など)
- 303試験:セキュリティ(暗号化やアクセス制御など)
- 304試験:仮想化や負荷分散など
があります。
試験時間は、
- 90分
問題形式は、
- 60個の多肢選択問題と空欄式の質問
について解答するようになっています。
- LIPC-2に合格し有効期限内である
- 300、303、304のどれかに合格
の両方を満たすと、LIPIC-3が合格となります。
LPICの有効期限は?
LPICの資格は有効期限が5年となっています。
Linux技術は日進月歩であるため、
5年程度で認定し直す必要があるのでないでしょうか。
ただし、例えば、LPIC-1を合格して3年目にLPIC-2(より上位資格)に合格したら、
本来はあと2年維持されるLIPC-1の資格はは失効するようです。
逆にいうと、上位資格を取得すれば、下位資格も兼ねるということになります。
LIPCの申し込み、受験方法、日程、受験料は?
LIPCの受験方法は?
LIPCは、コンピュータを利用して、マウスとキーボードで解答する形で行われます。
この試験方式は、「CBT(Computer Based Testing)方式」と呼ばれています。
あなたの希望する会場に行き、解答する形になります。
これに加えて、自宅や職場から試験を受けることも可能です。
PCのウェブカメラを通じて、
試験監督員が試験を監視しますので、
自宅や職場で試験を受けることができます。
このシステムは「On VUE」と呼ばれています。
LPICにはオンラインで試験を受ける仕組みがあります。
お忙しい方や会場まで行くのが大変な方などご利用されるのもいいかと思います。
LPICの申し込みはどうすればいいの?
LPICの申し込みは、3ステップで完了です。
手続きの流れは以下になります。
1、利用者登録する(LPI IDの取得)
まずは、LPIでのIDを作成する必要があります。
LPI IDの作成は『こちら』からできます。
- 名前や住所、電話番号など
- ユーザ名、パスワード
- 受信可能なメールアドレス
などを記入します。
2、受験申し込み(予約)をする(ピアソンビュー)
受験申し込みは、ピアソンビュー(Pearson VUE)を使って行います。
上記1で登録したLPI IDを使って、
ピアソンビューアカウントIDを作成します。
作成できたら、ログインして、以下の手順で試験の予約を行います。
まずログイン後の画面で、
- 試験を表示
をクリックして、試験を選択して受験科目を選びます。
例えば、LPIC-1の101試験を受けたい場合はそれを選択します。
3、LPICの試験会場・日程は?
続けていきます。
- 試験言語
- 試験会場(テストセンター)
- 受験日
- 支払い方法、金額の確認
などを選択します。
試験会場によっては予約で埋まっている場合もあるので、
早めに申し込みされることをおすすめします。
「On VUE」で、自宅や職場を利用される場合はまた変わってくるかと思いますので、
指示に従って申し込みをされてください。
クレジットカード支払いの場合には、クレジット情報なども入力します。
5、IPICの受験料はいくら?支払い方法は?
IPCの受験料は、IPIC-1, IPIC-2, IPIC-3は
- 税込で15000円
となっています。
支払い方法は、
- クレジットカード支払い
- バウチャー(プリペイドの電子チケット)
- 銀行振込
- 現金
があります。
ただし、銀行振込はカスタマーサービスへ連絡が必要です。
現金は一部のテストセンター(試験会場)でしか扱っていません。
なのであなたが希望されるテストセンターが現金払いを受け付けているかを、事前にテストセンターに確認されてください。
クレジットカード払いの方がサクッと手間もかからず予約ができるのでおすすめと言えるかと思います。
というわけで、本記事では、
- IPICとは?どんな資格なの?
- IPICを受験するメリットは?
- IPICの受験方法、日程、受験料は?
などについて、わかりやすくまとめました。
IPICの参考書・問題集などおすすめ本はこちらです↓
ちなみに本書は、Kindle Unlimitedの登録することで、
- 無料で読むことが可能
です。
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