「地理情報システム(GIS)」とは、
位置の情報がついたデータなどを処理し、
- それらのデータ管理
- データの検索
- 地図上に表示
といった機能を実現するシステムの総称です。
(Geographic Information System の略です)
カーナビは現在の位置情報をリアルタイムで活用しますし、
スマホアプリでも、Google Map をはじめ、位置情報を活用したマップのサービスなどが使えます。
位置情報の計算は、
- 「GPS(グローバル・ポジショニング・システム)」
を活用しています。
GPSは複数の衛星を使うことで現在地を決定しています。
近年の人工衛星の増加に伴い、GPSの精度がどんどん高まり、
位置情報を利用した様々なアプリやサービスが開発されています。
位置情報がついたデータを「地理情報データ」とも言います。
地理情報データの分析を行うことで、様々な価値を創出することが可能です。
といっても
- 地理情報データってなに?
- 地理情報システム(GIS)の活用例はどんなものがあるの?
- 位置情報がついたデータの分析ってどうするの?
と思われる方も多いかと思います。
そこで本記事では、
- 地理情報データや位置情報データとは?を知りたい
- 地理情報システムの使い方や例を学びたい
- 位置情報データの分析例・活用例を知りたい
といったあなたにおすすめの本をご紹介します。
本記事の概要
【GIS】地理情報システム (GIS) のデータ分析とは?位置情報データを活用したいあなたにおすすめの本はこちらです【岩波データサイエンス Vol.4】
岩波データサイエンス Vol.4
本書は、データサイエンスについて基礎から応用まで幅広く学べるシリーズの第4作です。
特集として地理空間情報処理が取り上げられています。
地理空間情報処理や空間統計について、初学者の方も全体像をサクッとわかりやすくつかめる1冊です。
地理情報データの分析について、
- 基礎から学べる実践編
- 多彩な分野での分析例を学べる事例紹介編
の2部構成となっています。
実践編では、地理情報データ分析や空間統計の入門的な内容がまとめられています。
フリーの地理情報システム「QGIS」
フリーソフトの地理情報システムである 「QGIS」 の使い方を手を動かしながら学べます。
特に初学者の方は、第1章の地理空間情報入門を読むことで、
- GISとは?
- 位置データの形式や、取得・加工・解析ってどんな感じ?
を一気通貫に学ぶことができ、おすすめです。
統計解析フリーソフト「R」との連携
フリーの統計解析ソフト「R」とGIS の連携についても解説されています。
分析面でRを活用することで、
より高度な統計解析やデータ分析が可能となります。
- 「R」について詳しくはこちらにもございます↓
『統計解析フリーソフト「R」で、楽しみながら統計を学びたいあなた、こちらはいかがでしょうか【Rで楽しむ統計 (Wonderful R 1)】』
- 「Rによる地理情報データの分析」についてはこちらもございます↓
『「空間統計」とは?空間データとは?Rによる空間統計解析・モデル、空間統計学の応用例など、空間統計を学びたいあなたにおすすめの本(教科書・参考書)もこちらです』
地理情報データでの階層ベイズモデリング
地理空間情報データについて、階層ベイズモデリングの解説もあります。
隣接する情報を反映した空間的ベイズモデルの作成や推定、可視化の方法を学ぶことができます。
本書について詳しくはこちらにございます↓
『「データ解析」や「統計モデリング」を基礎から体系的に学びたいあなた、こちらはいかがでしょうか【データ 解析のための統計モデリング入門】』
事例紹介編では、
テーマごとに、それぞれ専門家の方が、空間統計の活用例など、具体的に示されながら分かりやすく解説されています。
- 顧客動線研究
- 空間疫学
- SNSを利用したインフルエンザ流行の空間統計分析
- 人の流れの地理空間情報
- 位置情報のプライバシー・統計的安全性
顧客動線研究
スーパーマーケットの売上向上には、
買い物における計画的購買とそうでない非計画購買などの購入プロセスの理解が重要です。
「顧客動線研究」は、顧客の店内移動についての位置情報の分析研究です。
販売データや顧客データと組み合わせることで、店舗内の売上向上のための施策を空間統計を用いて提案することができます。
ビジネルに直結する地理空間情報データ分析になります。
空間疫学
空間統計は、医学・健康分野でも、疫学の中で特に活用され、「空間疫学」と呼ばれています。
疫学は、特定の集団に対する健康問題の頻度や分布の要因を解明し、予防やコントロール法を研究する学問です。
疾病の発生品とや患者数などを、地域比較することで、その疾病の空間的な特徴を捉えることができます。
他にも、ゲノム解析における”空間”疫学では、DNA上の遺伝子の場所を位置情報とみなすことで、疾病と遺伝子の関係を見出すことが可能となっています。
本書の中では、指定難病の発生の地理的変動の観察から原因を解明する試みについて解説されています。
ここではクローン病に注目して、指定難病の所持数者データを使い、空間統計やGISを用いた地域比較の例がまとめられています。
具体的な解析例の分かりやすい解説を読むことで、あなたが知りたい他の疾患の解析例を理解する時にも参考になる内容となっています。
SNSを活用したインフルエンザ流行の捕捉
ツイッターのようなSNSには、単なる書き込みのテキストデータだけでなく、
- 日付や場所の地理情報が含まれている
ものがあります。
毎日大量の書き込み、位置情報、コンピュータの処理能力の向上といったものがあいまって、
SNSデータに対する地理空間データ分析が可能となっています。
例えば、ある地点で地震が起きた時、SNSには「地震だ」といった書き込みが増えるはずです。
そこに位置情報(プロフィールでの開示、コンテンツ内容、GPS情報など)が付加されていれば、
いつどこで地震が起きたかのセンサの役割ができます。
このSNSをセンサとみなす考え方を「ソーシャルセンサ」と呼んだりします。
ソーシャルセンサは、自然災害や、祭りや選挙などの社会イベント、感染症の研究などで使われています。
ソーシャルセンサは、リアルタイムで状況を把握したいときなどに特に力を発揮します。
本稿では、ソーシャルセンサの例として、インフルエンザ感染症の研究例が解説されています。
感染症は流行初期に対策を打つのが重要です。
SNSデータの空間統計分析から、流行の兆しを抽出しようという試みがまとめられています。
参考文献も充実しているので、さらに深く学びたいあなたにもおすすめです。
人の流れの地理空間情報:時空間統計解析
近年のビッグデータブームでの地理情報では、建物、道路、国土などの動かないものに対するデータだけでなく、
人や物の流れなど、時々刻々と変化する空間データも集まってきています。
本章では、「人の流れプロジェクト」について、
- プロジェクトの背景から概要
- 空間データについて(パーソントリップデータ、携帯端末の基地局利用者情報など)
- 空間データ処理や可視化について(データ同化によるシミュレーションとの融合、Mobmapによる可視化など)
などについて、研究成果も含めて分かりやすく解説がされています。
プロジェクトの背景や概要から、地理空間データの過去から現在までの歴史的な流れに触れることができ、
現在のスマホなどのGPSにより状況が大きく変わっていることが分かります。
空間データについての解説からは、収集されたデータは実際どういうもので、
人の流れプロジェクトによって、どのように加工・処理され有効活用されているかを理解することができます。
空間データの処理では、データにない時間帯や日々の変動を知るためのシニュレーションとの融合(データ同化)が紹介されています。
人々のリアルタイムな流動を推定されていて、
状態空間モデルを活用し、パーティクルフィルタによるデータ同化の方法について、
注意点や工夫した点などとともにまとめられています。
さらに詳しくは「人の流れプロジェクト」ページにありますので、参照されてみてください。
本書は、身近なトピックについて、
専門家の方々が、分かりやすく解説されている密度の濃い、お得な本です。
読んでいて自分がデータ分析するイメージ湧いてくるような魅力があります。
初学者の方は、
本書を足がかりにして学ぶことで、
空間データ分析全体と自分の関係する個別内容のバランスをとりながら、
より効率的に理解を深めていける1冊となっています。
岩波データサイエンスシリーズはまとめ買いもございます↓
というわけで、本記事では、
- 地理情報データや位置情報データとは?を知りたい
- 地理情報システムの使い方や例を学びたい
- 位置情報データの分析例・活用例を知りたい
といったあなたにおすすめの本をご紹介しました。
こちらもございます↓
『「高校数学」をサクッと身につけたい・復習したい・やり直したいあなたにおすすめの本はこちらです』
『「中学数学」をサクッと身につけたい・復習したい・やり直したいあなたにおすすめの本、27冊はこちらです』
『「中学英語」を大人の方がやり直すときに役立つ教科書や参考書など、おすすめ本はこちらをどうぞ』