最近、「レコメンデーション」を活かしてビジネスを改善しました!
といったニュースをよく目にするのではないでしょうか。
レコメンデーションとは、推薦、という意味で、データ分析の分野では、多数の商品の中からそのユーザーに適切なものをおすすめする機能という文脈で使われます。
レコメンデーションの活用例は枚挙にいとまがありませんが、
「Netflix(ネットフリックス)社」のデータ分析活用は、その元祖(?)といっていいかもしれません。
レコメンデーションにあまり馴染みがない方は、Netflix社がどのような分析を行ったのかをみてみると、
レコメンデーションってこんな感じで役立つんだ〜
という感じで参考になるかもしれません。また、
- Netflix社は、レコメンデーションでどうやって成果を上げたの?
- 自社でもNetflixのようなレコメンデーションでやりたいんだけど、できるかな?
って方向けに、まずはNetflix社のレコメンデーションについてまとめました。その後、「おすすめ機能」を学んでみたい方向けに、おすすめの本を4冊ご紹介しました。レコメンデーションでビジネス課題を解決したいあなたに最適の記事となっています。
本記事の概要
Netflix社の経営課題はなんだったの?
Netflix社は、オンラインDVDレンタルや、それらのストリーミング配信を行っています。
Netflixに入会すると10万種類以上のDVDが見放題で、会員は1600万人ほどいて、アメリカでは著名なサービスとなっています。
日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、最近では「テラスハウス」や「火花」など、Netflixだけのコンテンツを増やしています。
Netflix 社はもともと定額のDVD宅配レンタル業者でした。
それが2009年頃からオンラインストリーミングに軸足を移しはじめ、それに伴って新たな経営課題が出てきました。
Netflix 社の収益源は、顧客が払う月額料金です。なので、
- 「いかに顧客をつなぎとめるか」
- 「いかに新規顧客を増やすか」
というのが最大の経営課題となります。
あれ?これってうちの会社の経営課題と同じだ!
って思われた方もおられるのではないでしょうか。
実際に、これらの課題は多くの経営者に共通する悩みとなっています。
- これらの課題をNetflix社は、どうやって解決したの!?
- うちでも使えるかな?
など思われた方もおられるかもしれません。
Netflix社がこれらを課題を解決するために活用したのが、Netflix 社がもつ「会員データ」でした。
レコメンデーション強化は、どう、Netflix を変えたの?
Netflix 社は、上の経営課題を解決するために、「レコメンデーション」機能の強化を試みまました。
ただしやり方がユニークで、Netflix社は、レコメンデーション強化のためのデータ分析を社外の専門家に公募しました。
つまり、コンペを開催して、誰でも参加することができるようにしました。
そしてその賞金にはなんと100万ドルが用意されたのでした。
初めての試みだったのもあり、このコンペはデータ分析業界に強いインパクトを与えました。
その結果、ビッグデータ解析の元祖と呼べるようなイベントとなりました。
具体的にどういうことを目的にしていたかというと、
あるDVDをみた人に、こちらもどうでしょうか?という形で別のDVDをおすすめ表示をします。このおすすめ表示の効果を高めることを目的にしました。
あ〜おすすめって、Amazonなんかでもあるよね!
って思われた方もおられるかと思います。
そうなんです。そのおすすめ機能をより洗練させるのがコンペの目的だったんです。
でも、なぜ、おすすめ機能の強化を目的にしたのでしょうか?
「おすすめ機能を強化」すると得られる、2つの経営メリットとは?
なぜ、おすすめ機能を強化したかというと、以下の2つのメリットがあるからなんです。
①、会員期間を長くできる
おすすめに表示されるDVDが、そのユーザーの興味にマッチしていればいるほど、多くのDVDをみてくれる確率が上がり、その結果、会員でいてくれる期間が長くなります。
なので「顧客離れを防ぐ」ことができます。
②、口コミによる宣伝効果がある
(自分の好みにあう、自分が知らない)よい映画を教えてくれるシステムがあれば、こんな映画知らなかったけど見てよかった!このシステムいいよ!って感じで、他人にも教えたくなりますよね。その結果、口コミの効果が生まれます。
すると「新規顧客の獲得」につながります。
このように、おすすめ機能の強化は、「顧客のつなぎとめ」と「新規顧客の獲得」を同時に解決してくれる一石二鳥の方法だったわけです。
経営課題とは関係ないので挙げませんでしたが、おすすめ機能には、じつはその他にもメリットがあります。
これはおすすめ機能を使う「ユーザー側のメリット」なのですが、おすすめ機能を使うことで、「モノとモノのつながり」を学ぶことができます。
Amazonの例がわかりやすいのですが、興味をもった書籍があったときに、そのおすすめ本は、興味がある本と関係の深いもの本になります。
興味のある本を単独で見るよりも、関係の深い本を同時に眺めることで、興味ある本についてより深く・多面的に理解することができます。書籍同士の関係性の体系化に役立つわけです。
Netflixの話に戻りますが、おすすめ機能を強化したNetflixは、2011年から2015年を比べると、時価総額が約5倍近くになっています。
さらっと書きましたが、これ、すごくないですか?
「レコメンデーションを改善」したら、時価総額が5倍!
レコメンデーションの改善によって
- 顧客離れを防ぐ
- 新規顧客をつかむ
といった、誰でも直面する経営課題をみごとに解決したわけです。
Netflix社と同じような経営課題を抱えておられる方は多いのではないでしょうか
- よし!自社でもレコメンデーションを改善してみよう!
- でも、どうやったらいいの?
って方に、レコメンデーションの全体像をつかめるものや、RやPythonのコードとともにレコメンデーションアルゴリズムを学べるものなど、初学者の方向けのものから、具体的な事例や体系的に学べるおすすめ本をご紹介します。
レコメンデーションを学びたいあなたにおすすめの本、4冊はこちらです
おすすめ機能に関するアルゴリズムは、「推薦システム」や「協調フィルタリング」などと呼ばれています。それらの詳細については、以下の書籍がおすすめです。
情報推薦システム入門 -理論と実践-
こちらは推薦システムの全体像をつかめる1冊です。推薦システムの基本的な考え方から、
- 「協調型推薦」
- 「内容ベース型推薦」
- 「知識ベース型推薦」
- これらのハイブリッド型推薦
といった各種推薦システムの特徴やアプリケーション例などが学べます。ケーススタディとして、モバイルインターネットにおける個人適応型ゲーム推薦の例が詳細にまとめられています。推薦システムを詳しく学びたい方が論文など専門情報を読む前に一読しておくと、その後の理解が促進される1冊です。
こちらもございます↓
推薦システム: 統計的機械学習の理論と実践
集合知プログラミング
第2章に「推薦」があり、Pythonコードとともに学べます。本書は人工知能アルゴリズムをコードを読みながら学ぶのによい本で、クラスタリングやベイジアンフィルタ、決定木やサポートベクターマシンなど、他の人工知能アルゴリズムも学べるお得な1冊となっています。
入門 機械学習
第10章に「k近傍法:推薦システム」があり、Rを使ったk近傍法と、その推薦システムへの応用がまとめられています。統計解析のフリーソフト「R」を使った実装なので、ゼロからプログラミングする手間が省け、サクッと学びたい方にもうれしい1冊です。
実践 機械学習システム
第7章、8章に「レコメンド」があり、Pythonコードとともにアルゴリズムの詳細を学べます。本書はトピックモデルや文書分類、感情分析やコンピュータビジョンなどと一緒に学べる充実した1冊となっていて、機械学習を学びたい方にもおすすめの本です。
というわけで、今回は「推薦システム」に関するおすすめ本をご紹介しました。他にもレコメンデーションに関係する書籍があるかと思いますので、また随時追加していきたいと思います。
他にこちらもございます↓
『「データ分析」を活用したいけど分からないことだらけの方、その悩みを解決する良書10冊はこちらです』
『「機械学習」でソーシャルデータ分析。ビジネスを加速させたいあなたにはこちらをどうぞ』
『機械学習を無料ではじめてみませんか!?【フリーソフトではじめる機械学習入門】』
『ビジネスに統計を活かしたいあなた、エクセル(Excel)で効率的に学べるこちらはいかがでしょうか』
『「マーケティング」を科学的に行いたいあなた、フリーソフト「R」を使った「データ分析」はいかがでしょうか【マーケティング・データ分析の基礎:Useful R】』
『「定性的データ分析」と統計解析のフリーソフト「R」をサクッと身につけたいあなた、こちらはいかがでしょうか』