フラクタルとは、自分の中に、自分と同じ形のより小さい部分を含むような構造や図形(自己相似図形)のことです。
フラクタルは、図形の一種なのですが、
学校で習った図形、三角形や四角形などとは本質的に違うものでして、異なった特徴を持っています。
そのフラクタル図形を用いることで、
その特殊な性質を活用することができ
例えば建築分野では、効率的に日よけを実現してくれたりします。
他には自然界にはフラクタル図形を持った野菜があり、他の野菜とは一線を画する印象をもたせてくれます。
フラクタル構造は見ていて神秘的なイメージを抱かせてくれるので、アートの分野でも使われていたりします。
さらに、株価やfxの価格の変動の様子は、フラクタルの性質を持っており、
フラクタルの性質を知っておくことで、株価やfxの予測など、金融分野への応用も可能です。
このように、フラクタルは様々なところに存在したり、使われたりしています。
とはいっても、フラクタルについて実際に見てみないとイメージがわきにくいかと思います。
そこで本記事では、
- フラクタルってどんなもの?
- フラクタル構造や図形を持ったものの身近な例って?
- デザインなどの活用事例にはどんなものがある?
などを知りたいあなたのために、フラクタルってこんな感じなんだ、というのをつかんでいただけるような例やおすすめ本をご紹介します。
本記事の概要
フラクタルの具体例・利用例はどんなもの?フラクタルのデザイン・構造・図形の身近な活用例などをまとめました
フラクタル図形とは
フラクタルってどんなもの?といったあなたには、
ビジュアルで、ありのままの自然の美しさ・神秘さを感じることができます↓
ビジュアル図鑑 自然がつくる不思議なパターン
銀河系とカタツムリが同じ形?とあるように、
自然界には、人類の分類した領域をまたがった、
フラクタルという共通の構造パターンが様々な領域に存在しています。目で見ながら楽しめる1冊となっています。
フラクタルがなぜ美しく見えたり、心地よく感じたりするの?
と思われるかもしれません。
この理由の1つには、フラクタル図形には、
- 「1/f 揺らぎ(エフぶんのいちゆらぎ)」
が含まれていることが挙げられます。
「1/f 揺らぎ」は、自然界にある揺らぎでして、
- ヒトが本能的に安心感や心地よさ・癒しを感じる情報
で、川のせせらぎの音や、ろうそくの火のゆらめきなどにも含まれています。
太古の世界で、生存のために水や火は欠かせないものであったはずです。
その水や火から出てくる1/f 揺らぎは、
- 人間の生存本能に深く刻まれた癒し
だと言えます。
この 1/f 揺らぎがフラクタル図形にも含まれており、それが癒しや美しさを感じさせてくれると考えられます。
詳しくは以下の書籍などにございます↓
また、フラクタルの1/f ゆらぎを利用した美した・癒しのグッズとして、ぬりえなどもございます↓
フラクタルだけでなく、数学全般について、目で見て楽しめるこちらもございます↓
では、フラクタルの身近な例などを挙げていきたいと思います。
フラクタルの自然界における例:ロマネスコ
こちらは「ロマネスコ」と呼ばるアブラナ科の植物の一種です。
- つぼみがフラクタル構造
をしているのが特徴的で、食用にもできる野菜です。
写真にありますように、つぼみに特徴的な構造が見て取れます。
つぼみは幾何学的に規則的ならせん状に、円錐状に配置されています。
1つひとつの円錐は、さらにらせん状に配列しており、自己相似の形状を作っています。
ちなみに、ロマネスコのつぼみや円錐の数はフィボナッチ数になることも知られています。
家庭菜園でも作れるのですが、精緻なフラクタル構造を作るのは難しいそうで、どのような条件が影響するのかなど興味深いところです。
ちなみに、同じアブラナ科の野菜のブロッコリーの味がして、カリフラワーのような食感がするとのことです。
一度試してみるのも面白いかもしれません↓
フラクタルの利用例①:日除け
通常の日除けでは、ビーチパラソルのように、日光に対して布や壁など
- 障害物を作ることで日差しを遮り、日差しを除く仕組み
になっています。
これに対して、フラクタル日除けでは、フラクタル構造を活用することで、
- 空間的に隙間の空いたスカスカの構造でありながら、しっかり日除け効果を生み出し
てくれます。
隙間があるのに日光を遮れるってなんだか不思議ですよね。
フラクタル日除けは、自然の樹木の形を模倣して作られており、
数学的には、以下のようなシェルピンスキーの四面体を組み合わせた構造になっています。
シェルピンスキーの四面体については、
以下の書籍にペーパークラフトが付いていますので、
自分で組み立てながら、フラクタル日除けの実体験もできます。
お子様との家庭学習や自由研究などにもオススメです↓
都市を冷やすフラクタル日除け―面白くなくちゃ科学じゃない (気象ブックス)
こちらもございます↓
フラクタルの利用例②:音楽・作曲
フラクタルが音楽と関係あるの?
と思われるかもしれません。
実は、音楽を作曲する際に、フラクタルの規則を使って行うことが可能となっています。
コンピュータを用いた作曲の分野に「アルゴリズム作曲」の方法があります。
このアルゴリズムには、
- 過去の曲から一定の作風などを人が見出しておき、それを元に作曲をする知識ベースの作曲
- 人工知能などの機械学習を活用して、自動で作風などを獲得して、それを元に作曲する方法
- その他にも遺伝的アルゴリズムを用いて、既存の曲を突然変異や自然淘汰の過程を通じて進化させ作曲を行うもの
などがあります。
これに加えて「フラクタルの性質を使った作曲」があります。
フラクタル図形は、上で書いたように、1/f 揺らぎを持つのですが、
フラクタルの性質を使った作曲というのは、
- フラクタル図形の情報を使って、楽譜中の音符の配列の中にも、1/f 揺らぎを持たせるように作曲をする
というものになります。
1/f 揺らぎは、数学的には自己相関やパワースペクトルを用いることで表現することができます。
ヒトは1/f 揺らぎを心地よく感じることが知られており、
フラクタル図形は1/f 揺らぎを持つので、
それを活用して作曲した音楽も心地よいものが作れるのではないかと考えられます。
ちなみに、バッハやモーツアルトの音楽にはこの1/f 揺らぎが含まれていることが知られています。
フラクタル音楽 (ガードナー数学マジック)
フラクタルの利用例③:金融モデリング
株式投資や投資信託などを行っている投資家の方であれば、
- 市場の値動きを予測できればいいのになぁ
と思われた経験があるかと思います。
過去のデータから、それらを数式で表現して、
その数式を元に未来を予測するという「モデリング」という手法があります。
モデリングでは、どんな数式を用いるかが肝になっており、王道的なやり方から、独自の職人技のようなものまで千差万別のモデルがあるかと思います。
このモデリングにフラクタルの考え方を使うことが可能です。
フラクタルの概念を提唱したマンデルブロは、金融工学分野でも研究をされています。
その中で、それまでの金融工学でのモデリングとは一線を画す、
- フラクタルの概念を考慮したモデリング方法
を提唱しました。
それ以前の金融工学モデルでは、相場はランダムに変動するという前提のモデリングでした。
フラクタル理論に基づいたモデルでは、
- 実際の相場に起こる「理不尽な動き」をモデルの中に組み込む
ことが可能となっています。
市場をフラクタル的な観点から見ることで、例えば
- 市場の暴落を避けれる確率が高めることができる
と主張されています。
フラクタル的なモデリングについて、数式なして理解できるおすすめの本としてこちらがございます↓
禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン
こちらもございます↓
経済現象を物理的な視点で読み解く分野「経済物理学」については、こちらの記事もございます↓
『「株価」の変動を理解したいあなた、「経済物理学」はいかがでしょうか【株価の経済物理学】』
というわけで、本記事では、
- フラクタルってどんなもの?
- フラクタルの身近な例って何?
- フラクタルはどんなところで応用されてるの?
といった具体例についてまとめました。
こちらもございます↓
フラクタルの全体像をつかみたいあなたには、こちらの記事もございます↓
『「フラクタル」とは?フラクタルの全体像をサクッと学びたいあなた、こちらはいかがでしょうか』
『「株価」の変動を理解したいあなた、「経済物理学」はいかがでしょうか【株価の経済物理学】』
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