「株価」の変動を理解したいあなた、「経済物理学」はいかがでしょうか【株価の経済物理学】

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株価の動きが予測できたらなぁ〜と思われた方も多いのではないでしょうか

  • 株価の変動を知りたい
  • 保有している株で、今すぐ売ったほうがいいものはあるか?
  • 株価の変動する仕組みを知りたい

こういった疑問にヒントを与えてくれる1つの方法として、「経済物理学」がございます

 

本記事の概要

市場をモデル化するための「経済物理学」とは?

 

経済物理学」とは、さまざまな経済現象について、物理学の立場からその仕組みを解き明かそうとする学問になります。

対象とする分野には、例えば、株式市場、外国為替市場の価格変動、企業の所得分布などがございます。

経済物理学では、

  • 市場の仕組みを記述したり
  • 市場を制御する方法を議論する

ため学問でして、実際には「統計物理学」のアプローチを使っている、

というのがポイントになります。

統計物理学ってなに?むずかしそう・・

という方も多いかと思います。

 

「統計物理学」は、統計学と物理学の両方を使う学問です。

統計学では多くのものにより引き起こされる現象を扱え、物理学では現象のルールを定式化することができます。

この2つが合わさった学問と考えると分かりやすいかと思います。

つまり、統計物理学では、多くのもの(粒子・人など)を対象として、

それらが引き起こしている現象のルールを見つける学問と言えます。

 

統計物理学の具体例としては、例えば、水の性質を調べるとします。

この時、統計物理学では、水の性質を直接調べるのでなく、

「水」は、「多数の水分子が集まったもの」と考え、

「水の性質」は、「多数の水分子集団の現象の結果」として理解するのが基本姿勢になります。

この多数の集団の性質を調べるのに統計学を使い、現象を定式化するのに物理学を駆使するわけです。

 

他にも、株価を調べるとすれば、株価自体を調べるのでなく、

株価を決める多数の投資家集団の行動を調べ、

それらの統計的な結果として、株価が決まる、

といった考え方に基づいて、株価が決まる仕組みを定式化したりするわけです。

 

(雑駁な言い方になりますが)

「集団の現象を定式化する」方法の1つに、

その集団の性質をひとつの量として表現し、

それを「ハミルトニアン」と呼びます。

 

通常の物理学では、ハミルトニアンはきちんと定義できます。

それに対して、市場を扱う経済物理学の場合には、

  • 明示的なハミルトニアンがない

ことが特徴になります。

 

 

 

 

「経済物理学」これができたらノーベル賞?その2つのポイントとは?

上で明示的なハミルトニアンがない、と書いたことからわかるように、

経済物理学では、まだ完全には市場をうまく記述できていません。

そしてそれが解決できたら、ノーベル賞が与えられるくらいのインパクトのある素晴らしい仕事になるはずです。

では、なぜうまく記述できていないんでしょうか?

その理由は、おもに2つあると考えられています。

①、マクロの適正価格を、前もって知るのは難しい

マクロ的な価格は、そのとき興味をもった特定の市場参加者たちの意見の総和として決まります。

その参加者たちの総和として、ある株価は高くあるべきとなれば株価は上がるし、低くあるべきとなれば下がります。

周りの大多数の人がその株価をどう評価しているかが重要なポイントで、

ミクロであるあなたや私たち個人は、

この大多数の意見を前もって知ることはできない状況にいますう。

なので、完全な情報を得ることができないわけです。

これが理解を難しくしている原因の1つになります。

 

 

 

 

②、市場の価格を左右する情報への反応は、複雑

もうひとつは、市場に流れる情報に対する市場の「反応」は、とても「曖昧」だということです。

一見、株価に影響しそうなニュースが株価に影響しなかったり、

取り立てて大きなニュースがない日に株価が大きく変動したり、

ミクロ的な情報の解釈と、マクロな価格への影響が素直に対応が取れていないことが起こります。

 

このような入力と出力の対応関係がよくわからない系を

(誤解を恐れずにいうと)「非線形」というのですが、

非線形のシステムは、予測が難しいのですが、

市場はまさに非線形システムです。

 

つまり、上の①を克服して完全なミクロの情報を得たとしても

その情報から、マクロの市場価格を予測するための対応関係がわかっていない

というわけです。

これが市場予測が難しい2つ目の理由となります。

 

 

 

 

 

というわけで、市場を記述するのは一筋縄ではいかないという2つの理由はわかっていただけたかと思います。

 

ただし以下のように、

  • 数学モデル
  • 実証分析

を駆使してデータ分析を行うことによって、

株価の変動などについて、さまざまな情報が得られることが分かっています。

 

といっても、

数学モデルってなに?

実証分析とは?

といったかたも多いのではないでしょうか。

 

これらをザックリ理解するには、

まずは経済物理学を一通り、サクッと学んで全体像をつかんでおくのがいいかと思います。

そのあとで、数学モデルや実証分析の詳しい本を学ぶことで、その後の理解が加速するかと思います。

  • 経済物理学ってなんだか役立ちそうだなぁ
  • 経済物理学をサクッと学べないかなぁ
  • 全体像を手軽につかめるとうれしいなぁ〜

といったあなたは、まずは経済物理学の全体像をサクッとつかんでみてはいかがでしょうか

本書の構成は以下の通りです

第1部 株式市場の概要

1章 株式市場の役割

1-1、株式市場の歴史
1-2、日本の株式市場
1-3、日本の株式市場の性質

Appendix:PTS
コーヒーブレイク:アルゴリズム・トレードの話
参考文献

2章 株式市場は効率的か

2-1、株価とブラウン運動
2-2.Bacheleir
2-3、確率解析
2-4、市場の効率性

AppendixA: 無相関と独立
AppendixB: ランダム・ウォークと中心極限定理
コーヒーブレイク:ギャンブルとマルチンゲール
参考文献

3章 複雑系としての株式市場

3-1、複雑系とは何か
3-2、株式市場における内生的価格形成
3-3、株式市場の複雑系モデル

コーヒーブレイク:群れ行動と臨界現象
参考文献

第2部 株価変動の実証分析

第4章 株価変動分布の解析

4-1、連続オークション市場における価格変動
4-2、価格変動の統計的性質
4-3、価格変動リスク

Appendix: 証券コード対照表
参考文献

第5章 株式市場の時系列解析

5-1、弱定常
5-2、時系列データの短期記憶性
5-3、時系列データの長期記憶性
5-4、取引符号と約定株数
5-5、ボラティリティ
5-6、R/S統計量とハースト指数
5-7、修正R/S統計量
5-8、ハースト指数の推定

参考文献

第6章 外国為替市場の解析

6-1、外国為替市場
6-2、外国為替レート
6-3、為替レートの日中変動
6-4、分次・日次・週次のレート変動
6-5、為替レートのフラクタル
6-6、自己相関関数
6-7、外国為替レートの予測可能性
6-8、出来高
6-9、単位時間あたりの取引注文数

コーヒーブレイク:液晶テレビの価格
参考文献

第3部 ファット・テイルと長期記憶の数理モデル

7章 ファット・テイルの数理モデル

7-1、乗算的確率過程
7-2、優先的選択成長モデル
7-3、確率的板モデル

参考文献

8章 長期記憶の数理モデル

8-1、非整数ブラウン運動
8-2、ARFIMA過程
8-3、GARCH過程
8-4、FIGARCH過程
8-5、取引符号の理論モデル

参考文献

索引

となっています。

 

というわけで、本記事では、

経済物理学の初学者の方だけでなく、

株など投資を成功させたいなぁ~

という投資家の方など、

経済物理学の全体像をサクッと学べる1冊をご紹介しました。

 

 

 

 

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