- 医療統計を基礎から入門して学びたいんだけど、どうやって学べばいいの?
- 統計学で使えるソフトって、エクセル、SPSS、R、SAS、JMP、 EZR などあるけど、どう違うの?
- 医療統計で使える「ソフト」ってどれがおすすめ?
など、医療統計用のソフトの比較に加えて、
医療統計と関係の深い多変量解析や、医療統計学の教科書など、
医療統計を実践したいあなたのために、医療統計のソフトについて、ソフトの特徴などをまとめました。
本記事の概要
医療統計を実行するための8つのソフトを比較しました
医療統計では統計解析を行う必要があります。
統計解析自体は、ソフトを使うことで、手軽に行うことが可能です。
医療統計用では、無料のものから有料のものまで、様々なソフトが使えます。
- EZR(Easy R)
- StatMate(エクセル)
- SPSS
- Stata
- JMP
- R, BUGS
- SAS
- StatView
といったものがございます。
以下では、これらについてまとめていきたいと思います。
(1), EZR
『EZR(Easy R)』は、自治医科大附属さいたま医療センターで管理されるフリーソフトです。
EZR(Easy R) は、フリーの統計解析ソフトの「R」を母体として、
マウスでポチポチしながら操作するための「Rコマンダー」に加え、
医療分野で必要となる統計解析を加えた、
初学者でもつまずかない
フリーの医療用統計解析ソフトとなっています。
より詳しい内容については、
開発者である神田善伸先生が書かれた以下の書籍がオススメです↓
初心者でもすぐにできるフリー統計ソフトEZR(Easy R)で誰でも簡単統計解析
本書では、EZRの1つひとつの操作を、PC画面のキャプチャを示しながら、わかりやすく解説してくれおり、
普段忙しい医療従事者が、統計解析を行うハードルを限りなくさげて下げてくれています。
扱っている例題が医療に関係するものなので、統計解析とその実践方法を学ぶと同時に、
現場で出会う例を使いながら学べるので、統計分析を身近に感じれるのではないでしょうか。
代表的な分析例が載っていますので、
自分がやりたい解析と似たものを探し、その手法の特徴や使い方をマネるといった、独学でも・わかりやすく学べる辞書的な使い方も可能です。
- 新しい治療法と従来の治療法はこの患者さんにはどちらがよさそうか?
- この検査はほんとうに役立つのか?
など、日常のさまざまな疑問について、自分で統計解析を行いながら判断できるようになる1冊です。
また、統計解析やEZRだけでなく、学会発表や論文発表でのグラフの使い方などもあり、分析結果の発表の際にも役立ちます。
本書は、医療従事者が、統計解析をゼロからできるようになるための手引となる1冊です。
より発展的な内容を学びたい方向けには以下の書籍がございます↓
EZRの解説・実践本には、こちらもオススメです↓
EZRを使うための3ステップとは
EZRは、EZRと、統計解析フリーソフトRの2つをそれぞれインストールして、セットアップします。
手順は以下になります↓
(1), 自治医科大附属さいたま医療センターのホームページからEZRの「ダウンロード」・「インストール」します。
→ 『自治医科大附属さいたま医療センター 統計ソフトEZRのページ』
(2), 「R」の本体をダウンロード・インストールします。
(3), 最後に、両者を合わせて、EZRをセットアップする流れになります。
(2), StatMate
『StatMate(スタットメイト)』は、
エクセルのデータをそのまま使って、医学統計処理やグラフ処理を実行できる統計ソフトです。
すでにExcelに慣れている方も多いかと思うのですが、エクセルを使う感覚で医療統計を実行できます。
エクセルの医療統計用の拡張のイメージです。
新しいソフトの使い方を覚える必要がないので、ハードルを低く解析を始めることが可能です。
StatMateには、以下の活用ガイド本がございます↓
DVDとガイドが一緒に買えるお得なパッケージもございます↓
Excelのソルバーとして、多変量解析を実行したいあなたにはこちら↓
(3), SPSS
SPSSは、統計パッケージソフトの総称で、IBM社が管理する有償のソフトウェアになります。
SPSSには、以下のようないくつかの製品群があります。
- Statistics(統計解析ソフト)
- Modeler(データマイニング・ツール)
- Analytic Server(ビッグデータによる予測サーバー)
- Collaboration and Deployment Services(分析資産の管理とプロセスの自動化と結果の共有)
さらにStatisticsの中に、以下のように、様々なソフトが機能別に製品化されています。
- IBM SPSS Statistics
- SPSS Advanced Statistics
- SPSS Bootstrapping
- IBM SPSS Categories
- IBM SPSS Regression
- ・・・・
これらのパッケージは、以下のようなパッケージがございます↓
- 学生向け
- 教育機関向け
- アカデミック向け
こちらもございます↓
(4), Stata
『Stata(ステータ・スタータ)』は、統計分析ソフトの1つで、医療統計、疫学研究はもちろんの事、経済学、社会学などでも使われている有料のソフトウェアです。
『Stata』は「Statistics」と「data」の2つを合わせてつくられた造語で、すべて大文字の「STATA」と表記すると間違いだということでご注意ください。
GUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)を使った、直感的な操作が可能なので、コマンドを打ち込みながら使うのに不慣れた方も安心です。
こちらのの書籍もどうぞ↓
(5), JMP
『JMP(ジャンプ)』は、 SASのビジネス部門が開発した、統計解析のプログラムパッケージです。
開発当時は、Machintosh向けのGUIを売りとしていたのですが、
その後、Windowsなども使えるようになっています。
その流れもあり、JMPでは、
データ分析の初期段階で特に重要な、データの様子を視覚化して調べる「探索的視覚分析」向けに特化しています。
そして探索的視覚分析から生まれた仮説は、実験計画の立案に役立ったり、その後、仮説検証やデータマイニングなどの手法によって検証することが可能です。
JMPには、以下のような5つのバージョンがあります。
- JMP(動的なデータの可視化と統計機能)
- JMP Pro(高機能予測ソフトを含んだバージョン)
- JMP Clinical(臨床試験データへの活用)
- JMP Genomics(ゲノムデータへの活用)
- JMP Graph Builder App for iPad(タブレット上でのグラフ作成・データ分析など)
30日間の無料トライアルがあるので、試してみた後で購入することができ安心です。
JMPについては、以下の解説本がございます↓
(6), R, BUGS
『R(あーる)』は、様々な分析手法を、サクッと実行できる優れた統計解析のフリーソフトです。
統計解析だけでなく、データマイニングや機械学習、人工知能、ディープラーニングなど、多くの手法を手軽に試すことができます。
統計学の裾野の広さを反映して、
金融工学、社会学、言語学、工学、神経科学、脳科学、バイオインフォマティクスなど、
多くの研究者や実務家の方々に日々利用されている信頼できるソフトウェアとなっています。
上で紹介したEZRは、この「R」を基礎的な統計処理に使っています。
このRを活用した医療統計の解説本には以下のものがございます↓
Rのダウンロードなどは、こちらにもございます↓
『BUGS』は、ベイズ推定を用いた統計モデリングを行うためのソフトです。
BUGSは、Bayesian inference Using Gibbs Sampling の頭文字をとったもので、統計モデリングを行うためのソフトウェアです。
統計解析は、すでに用意された枠組み(確率分布やモデル)を使って、データを分析する方法なのですが、
統計モデリングは、自分で指定した枠組みで統計的な処理を行うことができる方法になります。
従って、既存の枠に収まりにくいデータに出会った時や、
データに対してより柔軟な分析を行いたい時などに重宝する方法です。
BUGSは、Rと同じような文法で記述できるので、Rユーザーに敷居が低く、
BUGSにより得られたデータは、Rでさらに解析するといった、Rと組み合わせて使われることもよくあります。
このRとBUGSを組み合わせて医療統計解析に活用するための解説本がこちらです↓
同著者の医療統計についての解説本を並行して学ぶと理解が深まるかと思います
ベイズ統計についてはこちらもございます↓
(7), SAS
SASは有料のソフトで、医療統計だけでなく、
一般的な統計処理全般を行えるプログラムパッケージになります。
最近ですと、人工知能やディープラーニングなどの分析もできるようです。
アカデミック無料の『SAS University Edition』もございます。
SASについて、以下の書籍がございます↓
(8), StatView
『StatView(スタットビュー)』は、Macintosh用に開発された統計アプリケーションでした。
Mac向けに初めてGUI操作可能な統計解析ソフトとして使われてきましたが、
現在は生産中止となっており、最新のMacOSX などには対応しておらず、既存のユーザーが使っているという状態になっています。
これから医療統計を始める方は他のソフトを使われる方が良いかと思います。
参考図書としては、以下のものがございます↓
以上をまとめますと、
- まず無料で試せるフリーソフトとして「R」や「EZR」がありマニュアルや解説本も豊富にありますので、安心して使えます。
- 多くの方のPCにはエクセルも入っているかと思うのですが、Excelでしっかり医療統計解析を行いたい場合には有料ですが「StatMate」が使えます
- 次に、研究者の方や学生のあなたは、所属する大学・学校が導入している有料のソフトを使う機会があるかもしれません。
有料ソフトには、例えば「SPSS」「SAS」「Stata」「JMP」などがあります。
これらは有料だけあって、どれも使いやすく設計されており、
マニュアルや解説本を見ながら、独学でもマスター可能です。
ちょっと不安だなぁ〜という方も、契約プランによってはサポートを受けられることもありますので、確認されてみてください。
というわけで、医療統計に使われるソフトウェア8つについて比較してみました。
「医療と人工知能(AI)」ならこちら↓
Newsweek (ニューズウィーク日本版)2018年11/20号ここまで来たAI医療
医療4.0 (第4次産業革命時代の医療)
ヘルスケア産業のデジタル経営革命 破壊的変化を強みに変える次世代ビジネスモデルと最新戦略
「プログラミング」を学びたいあなたはこちら↓
プログラミング入門講座――基本と思考法と重要事項がきちんと学べる授業
独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで
独学で身につけるためのプログラミング学習術: Ver.4
「機械学習」ならこちらもございます↓
やさしく学ぶ 機械学習を理解するための数学のきほん アヤノ&ミオと一緒に学ぶ 機械学習の理論と数学、実装まで
Pythonで動かして学ぶ! あたらしい機械学習の教科書
Pythonではじめる機械学習 ―scikit-learnで学ぶ特徴量エンジニアリングと機械学習の基礎
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こちらもございます↓
医療統計に関する書籍はこちら↓
医療統計に基礎から入門したいあなたはこちら
医療統計研究のデザインや事例、サンプルサイズの決め方などはこちら
医療統計の統計データ解析や多変量解析・メタアナリシスなど
医療統計の論文を読むための参考書
「医療統計のおすすめ本」はこちらでも紹介しています↓
『「医療統計」を基礎から入門したいあなたにおすすめの良書、8冊はこちらです』
こちらの記事もございます↓
『「因子分析」を学びたいあなたにチェックしてほしい良書、12冊はこちらです』
『「重回帰分析」を学びたいあなたにチェックしてほしい良書、10冊はこちらです』
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