高校数学の「ベクトル」を、サクッと学び直したいあなた、こちらはいかがでしょうか【なるほど高校数学 ベクトルの物語】

The story of vector in high school math おすすめ

 

先日、お天気図をみていたら、風向きを表現するのに「矢印」が使われていました。

風が強いところは矢印が長く、弱いところは短く書かれています。

「向き」と「強さ」を同時に表せるって便利ですよね。これが「ベクトル」のいいところだったわけです。

でも、統計学やデータ分析などをやっていると、

あらためてベクトルをシッカリ復習したいなぁ~なんて思われる方もおられるのではないでしょうか。

本記事の概要

ベクトルとは?

高校時代に習ったベクトルは、数 B の難所の1つといわれています。

入試の二次試験などでは、ベクトルを使って解いてください、ではなく、いっけん図形の問題でそれを解くときにベクトルを使うと解きやすい、といった感じで出されることがよくあります。

ベクトルっぽくない問題でベクトルを使えるかがポイントですが、

こういうところがベクトルって難しいなぁといわれる原因の一つかもしれません。

しかし理系学部にすすむと、ベクトルの知識は必須です。

数学では言うまでもありませんが、物理学でもベクトルは重要です。

ベクトルを使って自然現象を理解し解析するからです。

さいきん話題の「人工知能」の中では、ベクトルを使った計算が行われています。

「ビッグデータ分析」を行って、

  • ビジネスに役立つ知見を見いだしたい!

という方も多いと思いますし、

「データ分析」のじっさいの計算でも、ベクトルの計算が活躍しています。

人工知能や機械学習、データ分析をシッカリ理解するには、ベクトルの知識は欠かせません。

なぜ、ベクトルはわかりにくいの?

その理由は、ベクトルが、「いくつもの顔をもっているから」ではないかと思っています。

わたしたちは最初、ベクトルとは「矢印」のことと習いました。

でもしばらくすると、ベクトルを足したり引いたり、かけ算もできることを習います!?

  • え?矢印なのに足し算引き算??

さらに進むと、ベクトルをつかって、三角形や平行四辺形の性質を表現したりします。

  • 矢印なのに図形と関係あるの??

きわめつけは、

  • ベクトルは連立一次方程式を解くときにも使えます!

ってもう矢印のベクトルのイメージは崩壊していると思います。

このように、高校数学のベクトルでは、

最初に習う「矢印のイメージ」から、

「矢印とは似ても似つかぬ使い方」まで、

短時間のかけ足で学ぶスケジュールになっています。

これが、ベクトルをわかりにくくしている原因ではないかなぁ~と個人的には思っています。

まずはこれだけ、たった3つのベクトルの使い方(重要)

ベクトルがさまざまな顔をもつことを書きましたが、

ベクトルの3つの使い方を意識的に押さえておくとその後がラクになると思います。

1、ベクトルは矢印だけど、「数」でもある。

数学だけでなく、物理でもベクトルは活躍します。

力学や電磁気学の「力」は、ベクトルを使って表現されます。

これを空間中に表現する時には、ベクトルは矢印として使います。

また、同じ向きのベクトルは足して1つにまとめることができたり、逆向きのベクトルは互いに打ち消し合って引き算の意味をもっていたりします。

矢印でありながら、数と同じように「足したり引いたりできる性質」を備えているわけです。

 

 

2、ベクトルは、「図形の性質」を調べることができる

ベクトルは矢印なので、長さや向きを持っています。

この長さや向きを組み合わせることで、図形を表現することができます。

たとえば、三角形のある角度は二つのベクトルのつくる角度として表現できます。

また同時に、ベクトルは数のように演算もできるので、

図形をベクトルで表現することで、

図形の性質を、ベクトルを使うことで、数の演算規則をつかって調べることもできるわけです。

 

 

3、ベクトルは、連立一次方程式を解く際に役に立つ

この使い方は、上で述べた人工知能や機械学習、データ分析でのベクトルの使い方で、線形代数の範囲になります。

ベクトルと連立方程式がどう関係するの!?と思われる方は、ぜひ線形代数の本を開いてみてください。

 

 

このように、ベクトルといっても、すくなくとも3つの重要な顔があります。これらをシッカリ使い分けながら理解していくのがポイントになります。

 

 

 

ベクトルをサクッと体系的に復習できたらなぁ〜

データ解析、機械学習、人工知能などを、基礎からシッカリ学びたい、けれど、ベクトルがよくわからない

そんな方がベクトルを復習するのに最適なのがこちらです

本書は、高校数学のベクトルを、「ベクトルって何?」「ベクトルわからない!」って方から、もう一度総復習したい社会人の方まで、サクッと学び直せる1冊です

数 b では苦手だった方も、「ベクトルって簡単!」となるはずです

本書は全9章から構成されています

第0章では、矢印ベクトルの例として、天気図が図示されています。

風の向きと強さの両方をもった量がベクトルだと直観的に理解できます。

 

第1章では、「ベクトルとは?」に答えるために、ベクトルの定義がなされます。

ベクトルが違うというのはどういうことかや、ベクトルの大事な性質である「ベクトルの計算規則」も示されます。

ベクトルの足し算やスカラー倍、ゼロベクトルの考え方、それらからベクトルの引き算が自然と導かれます。

 

第2章では、矢印のベクトルをこえた、ベクトルの数としての使い方が示されます。

これは「数ベクトル」と呼ばれ、数ベクトルは成分をもちます。

ベクトル同士の計算は、成分同士の計算として定義されます。

数ベクトルの和やスカラー倍が調べられ、位置ベクトルについても触れられています。

 

第3章では、ベクトルの使い方の2つめである「図形を調べる」使い方が説明されます。

「ベクトルで平行」を表現し、「ベクトルで直線」を表せることを学びます。

例題を理解していくことで、ベクトルによって直線を求めたり、線分の中点を決めたりします。

また、内分点や2直線の交点、そしてベクトルによる三角形の重心の表現を学びます。

 

第4章では、図形を調べるのに強力な武器となるベクトルの「内積」を学びます。

ベクトルの内積の定義や、内積が図形の回転を表すことが、図示され丁寧に書かれています。

「ベクトルの長さ、大きさ」の求め方や「ベクトルによる垂直」の表現方法、「射影」などの概念も学べます。

 

第5章では、3章につづき、図形の性質を調べます。4章で導入した内積が役に立ちます。

「ベクトルによる垂直」の表現を使い、図形中の垂線を考えます。

くわえて、三角形の重心、外接円の中心(外心)、内接円の中心(内心)のベクトルによる表現が学べます。

 

第6章では、「ベクトルは分解できる」ことを学びます。

「なぜ、分解するの?」の答えは、図形の回転を理解しやすくするため、ということを図示しながらわかりやすく説明されています。

他にも、線形代数でのベクトルの使い方である、「線形独立(1次独立)」、「線形従属(1次従属)」、「1次結合」などの重要な概念を学びます。

これらのベクトルの分解が、物理で非常に重要な役割を果たしていることを学びます。

ガリレオの振り子の等時性の話を例にして、ベクトル分解の威力と功績が示されています。

 

第7章では、「空間についてのベクトル」について学べます。

空間ベクトルの定義や平面ベクトルとの違い、空間ベクトルの和やスカラー倍、内積の公式など、空間ベクトルでも調べています。

 

第8章では、7章の情報を使って、空間ベクトルの空間図形への使い方が示されています。

「空間中の平行」であるが交わらないねじれの位置のベクトルでの表現や、平面の「法線ベクトル」「平面の方程式」なども学べます。

 

最後の第9章では、「ベクトルと連立1次方程式」の関係について触れられています。

線形独立・従属と連立方程式の解の存在との関係から、次元定理、行列式、ヒルベルト空間、ベクトル場といった、ベクトルの応用への橋渡しがされています。

最後に練習問題の解答と、①ベクトルの和とスカラー、②位置ベクトル、③ベクトルの長さ、④内積とった、ベクトルの公式がまとめられています↓

本書の構成は以下の通りです

まえがき

第0章 ベクトル

第1章 絵としてのベクトル

ベクトルの和
ベクトルのスカラー倍

第2章 ベクトルを数値で表す

数ベクトルの和とスカラー倍

第3章 図形とベクトル その1

第4章 ベクトルの内積

内積の定義
ベクトルの回転と内積
内積の図形的な意味

第5章 図形とベクトル その2

第6章 ベクトルの分解

ガリレオと振り子の等時性

第7章 空間ベクトル

空間ベクトルの内積
空間ベクトルの分解

第8章 空間図形とベクトル

第9章 ベクトルと連立1次方程式

問の解答

公式・記号

さくいん


このように、本書は、高校数学のベクトルをサクッと総復習できる1冊となっています。高校数学で難所とされるベクトルを、例や図示をたくさん使いながら、わかりやすく、丁寧に説明された良書です。オススメです!

 

 

 

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