毎日数多くの医学論文が報告されています。
私たちの医療は、これらの論文の成果によって進歩しています。
- 医学情報に興味のある方
- 医学を学んでいる方
- 医療関係者の方
など、日々忙しい中で、
- 医学論文を紹介するため読まないと
- 診断の参考にするために読まないと
- 病気について調べていたら、医学論文に行きついた
となることも多いのではないでしょうか。
こういったときに、
医学論文をサクッと読みこなせ、内容がつかめたら、うれしいですよね。
医学論文を読むコツの1つに、
「PECO」(または「PICO」)
があります。
論文を読んでいて
- 論文って、どう読んだらいいの?
- どこから読んだらいいの?最初から読むと大変
- 何に注目して読んだらいいの?
といった方も多いかと思います。
「PECO」を知ることで、
医学論文を読むときの、
最初の第一歩がとてもスムーズになります。
そこで本記事では、
医学論文の読み方として知っておくべき「PECO」について、
- PECOとは?何を意味してるの?
- PECOはどんな時役立つの?
- PECOの注意点は?
といったことについてまとめたいと思います。
これから医学論文を読んでいきたいあなたは、
まず最初にPECOを知っておくとその後の読みが加速するはずです。
本記事の概要
「医学論文」の読み方で役立つ「PECO」とは?PECOの使い方や注意点もまとめました
「PECO」とは?(または「PICO」とは)
「PECO (PICO)」は、ひとことで言うと、
- 医学論文を要約する手法・考え方
です
PECO (PICO)のローマ字の頭文字は、それぞれ以下のことを表しています。
P (Patient: 患者):
“どんな対象についての論文か” ということです。
- 誰のために
- 何のために
書かれたのかを把握するのがポイントです。
E (Exposure: 暴露)または I (Intervention:介入)
暴露は、”どんな治療をしたのか“ということです。
「介入」というのは、
患者に対しての影響のあることを行う
ということです。
具体的には「治療」などが介入にあたります。
C (Comparison: 対照群):
対照群は、”介入を行わなかったグループ“はどうだったか、ということです。
多くの医学論文では、ある暴露や介入が有効かどうかを調べます。
そのためには、
- 介入をしたグループ
- 介入をしないグループ
を比較して、統計的に有効かどうかを判断します。
その時に、「介入をしなかったグループ」のことを、
比較対象のグループということで、
「対照群(たいしょうぐん)」と呼びます。
O (Outcome: 結果):
”得られた結果”はなんだったのか、です
論文では、何かの結果を示すために書かれます。
- 読者に論文の結果を把握してもらう
部分になります。
PECOとは?のまとめ
- P:患者(どんな方に?)
- E:暴露(どんな治療を?)
- I : 介入(どんな治療を?)
- C:対照群(暴露していない人はどう?)
- O:結果(結果はどうだった?)
以上から、
PECO ( PICO ) というのは、
- 英語論文を読むときに、この4点を最初にチェックする
という考え方になります。
そして、この4点をまとめることで、
その論文を要約しやすくなるメリットがあります。
といっても、論文を読むときには、
- どうやってPECOの部分を探せばいいの?
となりますよね。
そこで次に、PECOの抽出法について
サクッとまとめたいと思います。
「PECO」の使い方とは
「PECO」は、基本的には論文の「本文中」から探すのをおすすめします。
ただし、論文の最初の要約(アブストラクト)にも、PECOに対応する内容がサクッと書かれている場合がございます。
お時間がない場合などは、アブストでサクッとつかまれると良いかとおみます。
しかし、アブストの表現だけでは、内容をきちんと理解できない場合も多くあります。
以上から、PECOを探す場合には、
最初にアブストをチェックして
PECOの部分があるかチェックします。
PECOの部分があれば、本文中の内容と併せて内容を正確に理解します。
PECOがなければ、本文中から探します。
- PECOって、どこを探せばいいの?
と思われる方もも多いかもしれません。
そこで以下で、PECOのそれぞれについて、
- 論文の本文のどこから探せばいいか
をご紹介します。
これを知っておくことで、長い本文でも、効率的に探せるかと思います。
そのためには、「論文の構成」について知っておくことが役立ちます。
なので、論文構成についてサクッとご紹介します。
論文の構成とは
論文は、研究内容を正確に伝える必要があります。
なので、構成・書き方が決まっています。
構成を知っておくことで、読みやすくなります。
つまり、構成を知っておくと
- PECOを探しやすく
- 要約しやすく
- 理解しやすく
なります。
医学系論文の構成には、バンクーバー方式という型が一般的に使われています。
(論文誌によっては、投稿規定で別の構成になっている場合もありますのでご注意ください。)
論文構成は主に以下の9点からなっています。
- タイトル(Title)
- 要約(Abstract)
- はじめに(Introduction)
- 対象と方法(Material and Method)
- 結果(Result)
- 考察(Discussion)
- 謝辞(Acknowledgement)
- 付録(Appendix)
- 文献(Reference)
以下では、PECOがどこにあるのか
論文構成のどの部分にあるかをご紹介します。
P(患者) / E(暴露)/ C(対照群)の探し方
P(患者) / E(暴露)/ C(対照群)は、
論文中の「4, Material and Method」にあることが多いです。
タイトルとアブストをチェックしたら
まずは「4, Material and Method」をチェックされると良いかと思います。
注意点がいくつかございます。
P(患者)は患者となっていますが、
介入される方は、何らかの病気を持っている、いわゆる患者とは限りません。
健常者の方も、介入される場合もあります。
なので、Pは、健常者も患者もどちらも対象になります。
E(暴露)では、観察研究では暴露はないと考えるのでご注意ください。
疫学研究などの観察研究では、
暴露せずに集団のデータ追っていくからです。
(詳しくは ”「臨床研究に関する倫理指針」の改正についての報告(案)”(PDFファイルです)にございます。)
E(暴露)は、
「I(Intervention: 介入)」を代わりに使って、
「PECO」を「PICO」と呼ぶ場合もございます。
C(対照群)では研究デザインによっては、対照群がない場合もあります。
O(結果)の探し方
O(結果)は、
論文中の「5, Result」にございます。
注意点としては、1つの論文の中には、
複数の結果があることがある場合がございます。
複数の結果がある場合には、
重要度を考えながら読むのがコツになります。
- 著者は特にどれが重要だと言いたいのかな?
と考えるのがポイントになります。
というわけで、本記事では、
医学論文の読み方として知っておくべき「PECO」について、
- PECOとは?何を意味してるの?
- PECOはどんな時役立つの?
- PECOの注意点は?
といったことについてまとめました。
これから医学論文を読んでいきたいあなたは、
PECOを活用して、論文の読みを加速させてみてください。
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