量子コンピューター技術の進歩・成熟が進むにつれ、革新的な製品やサービスを市場に投入する企業が増えています。
量子コンピュータがどのようにして産業界に革命をもたらすか、その可能性を探ります。
本記事では、注目すべき量子コンピュータのトップ企業を紹介します。
本記事の概要
【量子コンピュータ 会社】 今年注目すべき量子コンピューターのトップ企業たち(世界編)
量子コンピュータ企業のパイオニア 10社(世界編)
Googleは「ブリッスルコーン(Bristlecone)」と呼ばれる72キュービットの量子チップを開発しました。
Bristleconeは、量子計算の新たなステップを示すもので、Googleの以前の9キュービットのリニアアレイ技術と同じ基本的な物理学を保持しています。
Bristleconeは、カップリング、制御、およびリードアウトの同じスキームを使用し、72キュービットの正方形の配列にスケールアップされています。
このデバイスのサイズは、将来的に量子優越性を実証するため、表面コードを使用した第一次および第二次エラー訂正を調査するため、および実際のハードウェア上で量子アルゴリズム開発を容易にするために選ばれています。
ブリッスルコーンの名前の由来
ちなみに、ブリッスルコーンは、北アメリカに生息する長寿の松の一種で、その耐久性が量子プロセッサの堅牢さを象徴している可能性があります(ただし、これはあくまで推測であり、Googleから公式な説明は出ていません)。
しかし、これまでも、Googleはしばしば自社の量子プロセッサに自然界から取った名前をつけています。
例えば、その前のプロセッサは「チップモンク(Chipmunk)」と名付けられていました。
Googleは、量子ハードウェアの開発に注力しており、2029年までに100万量子ビットの開発を目指しています。
また、仮想環境で動く量子コンピューター「Quantum Virtual Machine(QVM)」をローンチしました。
これにより、量子ハードウェアのプログラミングをエミュレートでき、サーキット検証などを実行できるようになるとされています。
IBM
IBMは2023年12月4日に「IBM Quantum System Two」を発表ました。
これは最初のモジュール式の量子コンピュータシステムで、3つのIBM Heronプロセッサーとサポート用の制御電子機器を搭載しています。
このシステムは、IBMの次世代量子コンピューティング・システム・アーキテクチャーの基盤であり、スケーラブルな極低温インフラストラクチャーと、モジュール式の量子ビット制御機器を備えた古典的なランタイム・サーバーを組み合わせています。
これにより、量子通信と量子計算を古典的なコンピューティング・リソースを使用して組み合わせ、ミドルウェア層を活用して量子と古典のワークフローを適切に統合することが可能になります。
また、「IBM Quantum Heron」は、IBMの新しいクラスの高性能プロセッサーの第1号であり、IBM Eagleプロセッサーが記録したこれまでの最高記録を5倍上回る性能を提供します。
この新プロセッサーは、過去4年を費やして設計された、新しいアーキテクチャーを備えたユーティリティー・スケール(実用規模)の量子プロセッサーで、これまでのIBM Quantumプロセッサーの中で最高の性能と最も低いエラー率を実現しています。
IBM Quantum System Twoの特徴的な点は、そのモジュール性とアップグレード可能性です。
これにより、将来のプロセッサーを搭載することが可能であり、実行できるゲート操作の質を徐々に向上させていくことを狙っています。
IBMは、世界最大かつ最も強力な量子コンピューティング・システム群と、ユーティリティー・スケール(実用規模)を実現する量子コンピューティング・サービスおよびプログラミング・モデルであるQiskit Runtimeを提供しています。
また、IBM Quantum Experienceでは、クラウド経由で量子システムにアクセスして量子の検索と調査を実行できます。
Microsoft
Microsoftは、トポロジカル量子ビットを用いて、スケーラブルで低エラーの量子計算を実現するための技術を開発しています。
トポロジカル量子ビットは、量子情報を物理系のトポロジカル(幾何学的な)性質に格納する新しい種類の量子ビットです。
これは、個々の粒子や原子の性質ではなく、物理系全体のトポロジカル性質に情報を格納することで、量子ビットが外部のノイズから保護され、より安定した量子計算が可能になると考えられています。
具体的には、超伝導ナノワイヤの両端に量子情報を格納するトポロジカル量子ビットを構築しています。
これらの量子ビットは、個々の端部でのノイズに対して感度が低く、Microsoftの最近の論文では、このトポロジカル相を示すデバイスの測定と解析が示されています。
以上のように、Microsoftはトポロジカル量子ビットを用いた量子計算の開発において進展を遂げています。
加えて、MicrosoftはAzureベースのシミュレーターを提供しており、40以上の論理量子ビットをシミュレートすることができます。
また、ドラッグ・アンド・ドロップ・インターフェースを使用して、回路の構築、Qiskitコードの表示、アルゴリズムの開発を実行できます。
Amazon
Amazonは、量子コンピューティングのリソースとサービスを提供するためのプラットフォーム「Amazon Braket」を開発しています。
Amazon Braketは、量子コンピューティングの研究を加速し、量子コンピューティングのソフトウェア開発を支援するために設計された完全に管理された量子コンピューティングサービスです。
Amazon Braketの主な特徴は以下の通りです。
- 科学的発見の加速
アルゴリズム開発のためのツールと、AWS Cloud Credit for Research Programからのサポートを利用して、科学的発見を加速します。
- 異なる量子ハードウェアのテスト
超伝導、トラップイオン、中性原子デバイスへの簡単なアクセスを利用して、量子ハードウェアの研究の境界を押し広げます。
- 量子ソフトウェアの迅速な構築
Amazon Braketのソフトウェア開発キット(SDK)、シンプルな価格設定、およびワークフロー管理を利用して、量子コンピューティングのソフトウェアを迅速に市場に投入します。
また、Amazonは「AWS Quantum Solutions Lab」を通じて、量子技術、機械学習、高性能コンピューティングを使用したプロジェクトについてAWSの専門家と協力することも可能です。
さらに、「AWS Center for Quantum Computing」では、AWSの研究者がアカデミアと協力して、実際のビジネス問題を解決するための耐障害性のある量子コンピュータの構築に取り組んでいます。
以上のように、Amazonは量子コンピューティングのリソースとサービスを提供することで、量子コンピューティングの研究と開発を支援しています。
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